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京の桜~二条城編~ [ガーデン]

京の桜のしんがりを務めるのは御室桜と決まっているらしいが、ガーデナーにはどうしても会っておきたい桜が別にあった。駿河台匂い(スルガダイニオイ)御衣黄(ギョイコウ)である。

両者共遅咲きで、大好きな紅枝垂れの花時に訪ねても、固く蕾を閉ざしていてなかなか顔を拝めない。おまけに植栽されてある所が極端に少ない。ソメイヨシノをあんなに植えておくなら、一本か二本でいいから、駿河台匂いの場所を開けておいてくれないかとさえ思う。そんなに見たけりゃ植物園に行けと言われそうだが、見本としてではなく、ちゃんと庭園に植栽されている桜が見たいんである。

そんな我が儘をかなえてくれる場所、それは灯台下暗し、なんと二条城である。二条城と言えば、誰もが一度は修学旅行やら、遠足で連れて行かれたであろう超メジャー級観光地。去年は時間がないと言いつつ、ライトアップだけそそくさと拝んできた。夜の紅枝垂れとヤマザクラのトンネルは幻想的で、いとをかし。水面はなくとも十分に見応えがあった。

しかし日中となると…。思案したあげく、時間の空いたある晴れた平日に、相棒maruの乗る通勤電車に一緒に揺られ押されて、二条城開城と同時に突入することにした。(交通アクセス)

朝8時45分に城に「出勤」したガーデナーだったが、着いて見ると、もうすでに一台の観光バスが外国籍の旅行者を吐き出していた。でもまだたかが一台である。平安神宮と違って、ここはだだっ広い。ひるまず、桜マップを片手に二の丸庭園から入る。
二条城0001.JPG
(手前の桜は御所御車返ごしょみくるまがえし)

修学旅行生と外国人旅行者のグループが散策する中で、明らかに浮いているガーデナー。そんな事は気にせず、まずは小堀遠州が作庭したと言う庭園を堪能する。
二条城0001_2.JPG二条城0001_3.JPG
(←縦長の石が特徴の二の丸庭園の様式、→ソテツは当時の権力の証)

さて、いよいよ桜の園へ。皆、本丸庭園へ流れたのか、見事なサトザクラが満開だと言うのに観客がいない。天気はすこぶるいい。ここの桜も思いきり地面に向かって咲いているので、勝手に懐に潜り込み、桜シャワーを浴びる事にする。
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(桜シャワー、品種は多分、サノザクラ)

次に南中仕切門から本丸御殿を囲う様に続く散策路 へ。ここの道はライトアップのコースではない。鳥の声だけが聞こえ、澄んだ空気が心地好い。こんなにゆっくりできるとは予想外である。この道なりにあの駿河台匂いが三本植わっているはずである。ああ、枝垂れも綺麗だ。

一本目を発見したが、樹高が高く、真の目的である匂いを嗅ぐ事は不可能だった。むむ、残念。次に期待しつつ、八重の紅枝垂れを味わう。
二条城0001_5.JPG二条城0001_6.JPG
(←紅枝垂れの小道と、→枝垂れの後ろにある駿河台匂い)

二条城0001_7.JPG
次の駿河台匂いの場所にやって来た。皆、紅枝垂れには足を止めても、駿河台匂いは完全無視である。この木なら匂いが嗅げそうだが、花粉症で鼻の通りが悪い事に気付く。ようやく会えたのに…。しかしどこからか風がそよいだのか、微かにあの桜餅の香りがしてきた。もっと本数があれば、はっきりと分かるかもしれないが、そこはかとない上品な香りもいいものだ。



(←もう少し近くで見たい嗅ぎたい駿河台匂い)
















最後は御衣黄だと勇んで清流園に向かう。ここからはライトアップのコースになり、紅枝垂れと山桜のトンネルが幻想的だった所だ。しかし、なんと、御衣黄が植栽されている場所が立入禁止になっている!

二条城0001_8.JPG
ああ、お願いだ、入れてくれぇ。一目でいいから拝むだけでいいんだぁ。
と心の中で叫んでみても、どうしようもない。咲いていても緑の花なので、離れていて良く見えない。軽い衝撃。まあ、今回は駿河台匂いに会えただけでも良しとしよう。

ゆっくりと回っていたら、いつの間にか人が多くなっていた。10時も過ぎると、停車中の観光バスが門の前で連なっている。この後天気も悪くなるので、今年の花見ももう終わりであろう。桜が終わりに近付くと、今度はいよいよ種まきシーズン到来である。爽やかな朝の散歩を終え、意気揚々と帰途に着くガーデナーであった。

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(←ライトアップが綺麗だった山桜のトンネル、→目覚め始めた藤)

(撮影:4/15)

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コメント 11

ハイマン

中に入りたい気持ち
痛いほど伝わってきましたよ!
by ハイマン (2008-04-19 01:57) 

KAEDE

お早うございます。
二条城へは桜の時期にいったことがなかったのですが
かなり見ごたえがあるところですね。
それにしてもせりさんは桜にお詳しい・・・。
びっくりしました。
by KAEDE (2008-04-19 08:12) 

チョコまる

桜にもたくさん種類があるんですね。
そういえば実家の近くに、桜の植物園がありました。行ったことはありませんが、緑色の桜もあると聞いたことがあります。
by チョコまる (2008-04-19 12:59) 

Riyo-Lyon

桜のシャワーだ!
すごいですねえ・・・桜餅の匂いなんですかあ、駿河台匂い。
「匂い」と名前で歌ってる花、はじめて知りました・・・(´・ω・`)
御衣黄はちょっぴり残念だったけど、かなり堪能された1日だったのではないでしょうか?!
by Riyo-Lyon (2008-04-19 13:29) 

ビアンカ

京都ほど桜の映えるところはありませんね。
奈良もステキだけど、洗練されているカンジが違うんだなあ。
そうそう!観光地は朝一が狙い目ですね。
by ビアンカ (2008-04-20 11:56) 

achami

今年は枝垂れをまともに見ることが出来ませんでしたぁ〜!!!
by achami (2008-04-20 13:39) 

nono

枝垂れが凄い豪華です。修学旅行の時に枝垂れ桜の下で撮ったのですが、それが何処だったのか思い出せません。
ここなのかなぁ?
by nono (2008-04-20 13:51) 

こももにゃん

二条城の桜の園、いいですよね~(^^)
一昨年京都に行った時に回りました。でも私が行った時はまだ枝垂れも咲き始めだったんで、桜の園もあまり咲いておらずちょっと残念でしたっけ。
御衣黄、いいですよね~。
緑色の花好きにははずせない花です。
そうそう本丸庭園の芝生にすみれが点在してませんでした?
前に行った時にこの紫の小さい花はナンだろうと思った記憶があります。
何にせよ、朝の散歩に二条城だなんて素敵すぎます~~~。
by こももにゃん (2008-04-21 01:31) 

フク

基本的に桜=ソメイヨシノですものね〜
ソメイヨシノって儚さを感じる桜ですけど、それ以外ってそうでもないような・・・?
(勝手な想像?)
いいな〜京都。
遠くなってしまった・・・
by フク (2008-04-22 20:33) 

いむら

そうそう、庭で使われているところが見たいですねぇ。
ソメイヨシノもそうだけど、単植というのがねぇ。見たときは、ワッ!と思うけど、すぐ飽きるというか。派手なだけで、中身がない感じがします。やっぱり、庭で効果的に使われているところが見たいですね。
by いむら (2008-04-23 18:21) 

せり

>皆様へ、いつもご訪問&コメントありがとうございます。御衣黄には残念ながら会えなかったですが、また来年の楽しみにとっておこうかと思います。当地はサトザクラも散り始めました。いよいよ種まき、植え付けのシーズン到来です♪

*ハイマンさんへ 本当にね〜、入りたかったです(苦笑)。散策路はあるのに、どうしてなんでしょうか??この時期人も特に多いので、動線を制限しているのかもしれませんね。まあ、また来年挑戦しますo^ ^o

*KAEDEさんへ 量感を重視する人には物足りないようですが、多くの種類を庭で堪能したい人にはお勧めです。ただ品種を示す札は少ないので、写真を撮るにはいいのですが、どの品種かを見極めるにはやっぱり桜マップが必要ですね^ ^;どの花にも早咲き、遅咲きがあるので、混雑を避けながら花見をするには知っておくと便利です。とは言え、ブログを始めてからこんなに種類がある事を知ったんですけどね^ ^v

*チョコまるさんへ 桜の植物園!なんて素敵な響きでしょう!お決まりのソメイヨシノはあちこちに咲いているし、しかも混雑しているし、って事で、種類の違う桜を見るようになりました。緑色の桜は御衣黄やウコンなど限られるので、絶対あると思いますよ。普通の花見が一段落した頃に、ゆっくり花見できそうですね^ ^

*Riyo-Lyonさんへ 駿河台と言う名前が示す通り、関東の方で多く植栽されているようですね。東京にはもっと植わっている所があるそうですので、きっと回りが桜餅の香りで充満している事でしょう♪正真正銘の桜餅に使われるのはオオシマザクラだそうですよ^ ^

*ビアンカさんへ 奈良は素朴な所が魅力だし、京都は京都の美意識が色濃く桜の立ち姿や植栽の仕方に表れているなと、今年改めて感じました。人が多くなるのは当然なんでしょうね^ ^;本当に観光地は朝一で行かないと、ゆっくり写真は撮れませんね。平安神宮も是非、今度は早朝に行ってみたいです♪

*achamiさんへ 桜の時期は期間限定ですからね。自分の予定と天気と花時がうまく合致しないといけないので、なかなかチャンスは少ないです。これからでも日本列島を北上すれば間に合うかもしれませんよ!もしくは近場の山に行けば、もしかすると、、、^ ^v

*nonoさんへ やはり修学旅行で行かれてましたか^ ^;枝垂れは必ず寺院の何処か植栽されてますから、わからなくなりますよね。妖艶さでは平安神宮ですが、二条城は場所が開放的なので、写真は撮りやすいと思います。夜のライトアップはまた違った表情で、幻想的です。ただ、これも早い時間帯に行かないととんでもないですね^ ^;

*こももにゃんさんへ 私が行った時は枝垂れももう色褪せ始めて、サトザクラも一部散りかけてました。そんな時期じゃないと顔を見せてくれない桜もありますから、本当に奥深い花です。立入禁止区域にウコンもあったので、ちょっと緑色の桜が拝めなかったのは残念です。
今回は桜だけを見に行ったので、本丸庭園はパスしました。桜以外に所々咲いているスミレや日本タンポポやレンゲも見応えありました。もう散歩終了後は足がパンパンでした^ ^;本当に広い所ですね。

*フクさんへ ソメイヨシノに特別な感情を寄せるのは、日本人的って感じがします。「滅びの美学」と言う事でしょうか。散り際が一斉なのはクローンだし、その品種の特徴なんですが、人生を重ねて見る感性は独特だと思います(私も日本人なんですがね^ ^;)。先入観なしに見ると、成長が早い、安い、花付きがよくて花が大きい桜なんで、近代に開発した所には大量に植わっているんだと思います。京都で枝垂れが好まれているのは、古いものを大切にする感性があるからでしょうね。

*いむらさんへ そうなんですよ!札が下がって、見本でいかにも植えましたって感じよりもね、庭の方が情緒があるじゃあありませんか^ ^vソメイは量感はあるけど、それだけだと、おっしゃる通り、見ていて飽きるんです。組み合わせとか、どこにフォーカルポイントがあるとか、枝振りとか鑑賞ポイントを色々堪能してみたい気がします。とは言え、見ても植える場所はないんですけどね(苦笑)。

*nice!を頂いた皆様へ ありがとうございます!^ ^


by せり (2008-04-24 09:32) 

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