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花寺巡り〜バラ編〜 [花寺]

ガーデナーはバラが好きだ。好きだからこそ、品種の好みが他の花よりも一段とうるさくなる。

ここの所週末は、バラ園に行っている。しかし近場のバラ園には、お馴染の品種しかないし、植栽や仕立ても同じで、どこに行ってもあまり変わりばえはしない。大概、高芯剣弁咲きのハイブリッド・ティーが、たっぷりの肥料を鋤き込まれて、赤ちゃんの頭ぐらいの大きさに膨れあがり、どぎつい赤やオレンジや黄色で辺りを埋めつくしている。

大好きな香りの高い、丸弁で優しい花色の原種やオールドローズやイングリッシュ・ローズは皆無か、あっても隅の方に申し訳程度に植栽されているのが常だ。いわゆるバラと言われて、皆が想起する形が、高芯剣弁咲きのバラ。一輪や、切り花で見ると確かに美しい。しかしあれだけ大量に同じ形で列植されていると、フォアグラにキャビアとトリフを大量に乗せて、フカヒレの姿煮と一緒に出された位の胸の悪さを覚える。(もちろん、皆一度に食べた経験はない。)

限られた自分の庭(ベランダ)に、わざわざそう言った品種を欲しいとも思わない。しかも一株だけで存在感がありすぎて、そこだけ異空間になりそうだ。食事のコースを構成する様に、メイン料理だけではない、バランスのいい植栽が庭にも欲しいなと思う。

例の宝塚のシーズンズ以外、うまくバラを使った庭は、ガーデナーの近隣ではまだ見ていない。しかしそんな中で、変わり種を見つけた。奈良県にある「おふさ観音」だ。
http://homepage3.nifty.com/ofusa/

庭として、真似したい所は正直あまりなかったのだが、寺とバラと言う微妙な関係が面白かった。合っているのかいないのか、この不思議な景色を振り返ってみよう。

入って左手すぐ、意外な所から顔を出すピエール・ドゥ・ロンサール(写真左)。少し不意をつかれた感じだ。レンガにはよくあっていると思うが、ここはどうなのだろう。その横には、イングリッシュ・ローズの多分ゴールデン・セレブレーション(写真右)。お寺の鐘の側に植えられるなんて、作出したDavid Austin氏もびっくりするだろう。

せまい境内は、鉢植えのバラで埋め尽くされている。バラの魅力に取り憑かれ、収集してしまうとこうなるという末路が見えるようだ。品種は住職の趣味だろうか。生意気な事を言わせてもらえば、仕立て方はまずまずとしても、品種の趣味は悪くないなと思う。自分でつるバラを誘引なぞした事もないくせに、好みだけは一人前なのだから、我ながら感心する。(写真上:トラディスカント、下:サンショウバラ)

イングリッシュ・ローズが多く、境内はあの香しさで一杯だ。丁寧に品種毎に札が立ててあり、詳しい説明もある。アナウンスで、今の蕾は5月下旬から6月にかけて満開になるので、またお越し下さいと流れる。ここは入園料もとらない。本当にバラ好きなのだろう。

最近よく見かけるカクテル(写真左)。この絵はやっぱり不思議だ。(写真右はウェンロック)

奥にはちゃんと日本庭園もあり、亀が甲羅干しをしていた。暑くなってきたので、奥の茶房で休憩する。せまい所に夥しい数のバラやハーブ達がいて、人も多くて、なかなか写真も撮りづらい。茶房の横では、バラのアートフラワーや服まで売っていた。本当にバラ好きなんだなと感心する。

(写真左下:エルサレム・セージ、右下:ラベンダー)

バラと言えば、レンガやヨーロッパの家並みに映えるイメージがどうしても付きまとう。ここは、和風の木造建築に、バラを植えたらどうなるかと言う大きな挑戦をしているようにも思える。果たして合っているのだろうか。うなりながら、結論の出ないまま、ガーデナーは寺を後にした。

*****おまけ*****
(左)ピンク・グルーテンドルスト(右)ダイヤモンド・グレイ


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コメント 14

ごまかん

薔薇の花と香りに包まれたお寺さんがあるんですね@@
鐘と薔薇~なんだか不思議な空間ですね。ちょっと見てみたいような^^
by ごまかん (2006-05-23 16:53) 

和洋折衷のコラボ・・・粋な住職なんでしょうか?
by (2006-05-23 17:31) 

チョコまる

バラにはまっている住職さんとはね…お寺をバラだらけにしちゃうなんてチャレンジャーだなぁ(笑
鐘とゴールデン・セレブレーションは、意外と悪くないかも。
by チョコまる (2006-05-23 17:35) 

お寺がバラ園なんていいかも!
住職さんおしゃれだな~☆見に行きたい!
by (2006-05-23 18:09) 

アッキー

お寺にバラとはまた面白い光景ですね
なかなか合ってるような感じがします
by アッキー (2006-05-23 18:09) 

いむら@fintopo

お~、こういうところなんだ~
おふさ観音は、以前検索して見つけて、行ってみたい所リストに入っています。行けるかどうかわからないけど。

なかなか奇妙な光景のようですね。
まぁ、人の印象というのも慣れが大きいから10年後くらいには先進的と言われてたりするかも?
by いむら@fintopo (2006-05-23 18:24) 

良い、光景ですね。
最後のダイヤモンド・グレイが良いですね>
へへれ
by (2006-05-23 19:27) 

アンジェラス

ピンク・グルーテンドルスト参上!!!(^o^)/
この薔薇が好きになりました。
by アンジェラス (2006-05-23 20:05) 

薔薇はいいですね。
by (2006-05-23 22:47) 

ゆうこ

おふさ観音、行かれたのね。
いいないいな~~~o(≧∇≦o)(o≧∇≦)o
こちらも一度行ってみたい場所です。

>せまい境内は、鉢植えのバラで埋め尽くされている。バラの魅力に取り憑かれ、収集してしまうとこうなるという末路が見えるようだ。

やだ、この一文、せまい「境内」をせまい「庭」に変えると私のことになっちゃう!
Σ( ̄ ̄ ̄Д ̄ ̄ ̄lll) ガビーン
by ゆうこ (2006-05-24 19:17) 

okimasa

バラのかほりは良いですよね。ヽ(^。^)ノ
by okimasa (2006-05-24 19:24) 

せり

>皆様へ、魅惑の「おふさ観音」はいかがでしたか?行った時は目が慣れず、違和感が有りましたが、こうして振り返ってみると、これもいいかなと思えるようになってきました。慣れの問題ですね。ご訪問&コメント有り難うございます。

*ゴマフさんへ
奈良にもう一軒ばら寺があるらしいのですが、今まで気になっていた「おふさ観音」の方に行ってみました。もう少し早起きしていけば、優しい感じの光で、もっとお寺とバラが合っていたのかもしれません。でも不思議な空間でしたよ。

*g_gさんへ
後でHPを見てみたら、副住職のご趣味とか、、、。和風だと、バラも原種や一重で、色の優しいものを合わせそうなんですが、ここは何と大胆な、って感じでした。目が慣れてくると、こういうのもいいですね^ ^;

*チョコまるさんへ
そうでしょう(笑)。入り口に立つと度肝を抜かれますよ。やってしまったのねって感じです(苦笑)。何度も写真を見るうちに、私も鐘とバラの組み合わせに慣れてきました。最初はやっぱり、衝撃が走ります^ ^

*ゆっちょすさんへ
ここはお寺なのって言うぐらい、バラに埋め尽くされています。バラ園でも、ここまで品種を集めている所はないでしょう。お寺関連の建物以外は、全てバラだとご想像下さい^ ^しかも入場無料です。

*アッキーさんへ
最初は目が慣れないものですね。お寺には無意識に、和風の植栽や植物を期待してしまうんでしょうね。固定観念を打ち破った勇気に乾杯!です。合っているかどうかは、見る方が慣れるかどうかなんでしょうか。私も今はなかなかいいかなと思えるようになりました。

*いむらさんへ
行きたい所リストに入っていたのですね。いや〜、こういう所です。バラ寺と言うより、バラの間に寺がある感じでしょうか。おっしゃる通り、これは先進的なのかもと、やっと思えるようになりました。最初は絶句してしまいます。時間が立てば、馴染んでくると言うか、目が慣れるんでしょうね^ ^;

*koi3さんへ
お口に合いましたでしょうか?^ ^;バラとお寺と言う微妙な関係が、ちょっとドキドキしますが、慣れるとよく見えるものですね。最後のバラは鉢植えですが、微妙な色合いをしていましたよ。写真に色合いを撮るのは難しいですね。

*アンジェラスさんへ
密かに私もブームになっている、グルーテンドルストさんです。この品種なら覚えられますね。後のは、本当に区別がつきません^ ^;午後の光なので、お顔がきつくなってしまいました。もっと優しい色合いの美人だと思います。

*こうちゃんさんへ
美しさに見とれて、近づきすぎないように、気をつけて下さいね^ ^vうっとりとするようなバラを撮ってみたいなといつも思います。撮る前にうっとりしているので、いつも何を撮っているのかわからなくなります^ ^;

*ゆうこさんへ
ゆうこさん、もっ〜と品種を増やして、全ての壁と塀をつるバラで埋めないと、このお寺の域には辿りつかないから大丈夫ですよ。だって、バラの中にお寺があるんですから^ ^;ここが終点でしょう。多分。次行ったら、日本庭園がなかったりして、、、。

*okimasaさんへ
バラの芳香には、癒し成分があるみたいですね。どうですか?okimasaさんも、バラを^ ^

*春分さんへ  nice!有り難うございます!
by せり (2006-05-25 13:54) 

フク

こんにちは。
和風庭園とバラ・・・自分も合わないかなって以前は思っていました。
自分のブログを読んでくださっている方でバラを育てていらっしゃる方がいるのですが、そのなかの「コント・デ・シャンパーニュ」というのを見て前言撤回です。
それは淡いピンク色で柔らかな丸さがとても優しい感じがしました。また、牡丹や芍薬に似てるのかなとも思いました。
センスしだいでいくらでもマッチしてくる可能性があるのだなと思いました。
by フク (2006-05-25 21:43) 

せり

>フクさんへ
ご訪問有り難うございます。丸弁で淡い色合いとか、一重や半八重なら十分和風庭園で使えると思います。日本に自生している原種も結構ありますから、「合わない」と言う固定観念がいけないのでしょうね。中国の原種と掛け合わせたオールドローズを持っていますが、アジアの気候に合っていて育てやすいです。そんな素敵なバラ達と合う庭を持つのが夢です。いつの事やら、、、。コメント有り難うございました。
by せり (2006-05-26 23:11) 

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