SSブログ

宇治茶まつり [Tea Time]

今日は文化の日。って事で、先月お茶の記事を書いていたので、古くはなりましたがアップしておきます。

******
先月初旬宇治橋一帯で、宇治茶まつりが開かれた。普段生活しているすぐ近所で何かしら伝統的な祭りが催されるというのはとても新鮮だ。興味津々のガーデナーは相棒maruを誘い、朝からカメラを携え、いそいそと宇治橋へと出かけて行った。

「名水汲み上げの儀」から始まるのだが、九時前にはすでに関係者と見物客で橋周辺は結構な人だかりだった。橋の上では今が何時代がわからなくなるぐらい古風な装束の人達と、橋の下では最先端技術を駆使したレンズ群が、同じ瞬間のために待機している。

(→maruさんもスタンバイOK)

何の合図もなく、するすると井戸のつるべのごとく、木製の器が欄干から下りてきた。高度が下がるに従い、振り子のように反動をつけ、つるべはくねりながら宇治川の流れに引き込まれるように着水し、執拗な水の誘惑を断ち切るかの様に、ゆるゆるとと引き上げられて行った。川の水を汲むと言う単純な行為なのに、何故だか厳かで緊張感が漂う。皆固唾を呑んで見守る中、つるべは三回着水し、三回ゆるりと吊り上げられた。

これで終わりかと思いきや、今度は人足みたいな装束の人達がやってきて、うやうやしく茶壷らしい物体を籠に乗せ、身分の高そうな人達を先頭に行列して行く。少し上流の興聖寺で「茶壷口切りの儀」があるそうで、おそらくそこまで汲んだ水と共に運んで行くのだろう。

儀式の見物のため、河原まで降りていたガーデナーとmaruは、そんな行列はそっちのけで、周りの植物達に心を奪われていた。朝の河原はすがすがしく、鳥も蝶も舞い、心癒される風景である。釣り糸を垂れる人、鳥を観察する人、散歩をする人や一休みしている人がいる。皆思い思いに朝の河原を楽しんでいた。

(←ススキ:→可憐なノゲイトウ、う〜ん、お持ち帰りすればよかった^ ^;)

川の中央にある橋島に出てきたガーデナー達を迎えたのは、つつましやかな出店だった。屋台と言うにはあまりに商売っ気のない手作りの品々がテントの下に展示されていた。その間ようやく行列は朝霧橋を渡り、対岸の寺へと向かっていた。

(←山野草の店も。興奮して指がフレームに??)

朝霧橋からの眺めを楽しみながら、対岸に出ると朝の十時だった。観光客らしき人影があちらこちらに現われた。なんだかお茶が飲みたくなった。看板を出してようやく目覚め始めたばかりの茶店に寄り、かぶせ茶を頂く。茶碗に直接茶葉を入れ、ふたをずらしながらすすって頂く方式が面白くて気に入る。葉が開くのを待つ間、時間がゆったりと流れて行く。

(←入れ方も教えてもらえる:→五煎目を飲んだあとは、ポン酢をかけて茶葉を頂く。美味♪)

帰りに商店街を歩いていたら、上林記念館(かんばやし)と言う古びた長屋が目に止まった。お茶つながりなので、ものは試しと入ってみる。中には昔の製茶に使われていた道具や茶壷が展示されてあった。建物の構造自体も昔からそのまま保存されている。江戸時代に盛んであった「お茶壷道中」で使われた籠と茶壷を見ていると、先ほどの行列の光景と相まって想像が膨らむ。新茶献上のため、皇室と同等扱いだった「お茶壷様」が通る時、大名行列はひれ伏し、周りの住人達は息をひそめて通り過ぎるのを待っていたらしい。

♪ずいずいずっころばし ごまみそずい
茶壷に追われてト(戸)ッピッシャン
抜けたら(通過したら)どんどこしょ

子供の頃意味もわからず口ずさんでいた唄が、お茶壷道中を唄ったものだと言う解説を見て目からうろこが落ちる。

帰りに茶染めのテーブルセンターをおみやげにして、タイムトラベルの余韻にひたるガーデナーであった。


(←記念館の前のお庭)

(撮影:10/7)


nice!(12)  コメント(15)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 12

コメント 15

春分

とてもいいレポートですね。汲み上げの儀の様子がよくわかるし、いい夫婦の時間が伝わる。こんなのがいいなー。
ポン酢茶の葉もよさそうで。
by 春分 (2007-11-03 15:21) 

アッキー

ご無沙汰しました
いいですね宇治川
by アッキー (2007-11-03 17:41) 

みー

リンゴちゃん、退院出来て良かったですね。

宇治もすっかり秋ですね。
宇治茶まつり、風情がありますね。
いつも一緒の仲良し夫婦で、レポートほのぼのします。
茶葉にポン酢をかけて食べるのは初めて聞きました。
お茶の葉は健康にいいらしいですね。

↓お庭も充実して来ましたね。
maruさんとの仲良し園芸生活が、とても楽しそうです。
by みー (2007-11-03 19:58) 

achami

ツマグロヒョウモン、良いなぁ〜。
今年、思いっきりこの蝶にはまりました!
by achami (2007-11-03 20:28) 

絵瑠

せりさん、こんばんは。
ノゲイトウ、可愛いらしいですねぇ。
当地では一度も見た事も聞いた事も無い植物です。
世に中には本当に色々な植物があるものですね。
by 絵瑠 (2007-11-03 22:09) 

ノゲイトウにツマグロヒョウモンかな?
ノゲイドウは始めのお目見えです見てみたいです。
by (2007-11-04 10:11) 

フク

椀に茶葉を入れてふたをずらしながら飲むのって、中国茶の飲み方と同じですね。

秋らしい素敵な写真ありがとうございます。
by フク (2007-11-04 20:22) 

ごまかん

お茶壷様の行列が~さすが お茶どころですね。
お茶壷さまが通る時を歌っていたとは、びっくりでした@@
by ごまかん (2007-11-04 21:32) 

はじめまして

はじめまして。
「はぴeファンブログ」のゆうこと申します。
「はぴeファンブログ」では、「オール電化」を楽しんでいる主婦が関西地区のお出かけ情報・グルメ情報を楽しく紹介しております。
私もこの間宇治・上林記念館」の記事をUPしたのですよ。同じ宇治・上林記念館の記事ということでTBさせていただきましたので宜しくお願い致します。
宜しければ私たちのブログにも遊びにきてくださいね。
by はじめまして (2007-11-04 21:50) 

ビアンカ

ほー、宇治茶祭りなるものがあるんですね。かなり盛大な様子。
何年か前に、宇治を訪れたとき、お寺のようなお屋敷で新茶の品評会が行われていました。その日はいいお天気で、川も橋も美しく、すっかり宇治が気に入った私です。
平等院の美術館がモダンなのには驚いたなー。
by ビアンカ (2007-11-05 16:08) 

せり

>皆様へ、いつもご訪問&コメントありがとうございます。記事を書いてから約一か月経つので、ボツにしようかと迷ったのですが、アップしてよかったなと思います。皆さんのお言葉が本当に励みになっています。感謝しています?

*春分さんへ いつも春分さんの鋭いレポートを拝読している身としては、お恥ずかしい限りです^^;こういう行事の時ぐらいは、早起きして見るようにしようかなと思っています。ポン酢茶はなんか柔らかいお浸しみたいで美味でした。茶葉が最高級品だという事なので、普通の葉だとこうはいかないのでしょうかね??

*アッキーさんへ わあ、いらっしゃいませ。早くこちらの世界にも顔を出してくださいね^^v宇治川にはまた色んな鳥が来てますよ。望遠が欲しくなります。

*みーさんへ 過去記事も読んで下さりありがとうございます^^茶葉をお茶としてだけ飲むのは、栄養のほんの一部しか利用していないので、勿体ないんだとか。お店では最高級の茶葉を出していて、普通の葉よりも柔らかいんです。

庭と言うか、相変わらず、狭い花壇に一杯ひしめいている感じの植栽になっていてお恥ずかしいのですが、相棒とのバトル(?)も楽しみながらやっていけたらと思います。みーさんの所のように渋い植栽ができるといいのですが、、、。参考にさせて頂きます。

*achamiさんへ おお、この蝶をツマグロヒョウモンと言うのですね@@ノゲイトウが珍しく、蝶も奇跡的に撮れたので載せてみたんです。蝶にも色んな種類があって、知っていると楽しそうなのですが、昆虫図鑑には「お子様」の写真も載っていそうなので、ちょっと買えません^^;また教えてくださいね。

*絵瑠さんへ 可愛いですよね?誰かが密かに植栽しているのかと思ったぐらい素敵な眺めでした。あとで野草だと知り、種でも取ってこればよかったなとちょっと後悔しました。園芸種のケイトウ類よりも淡い色合いがいいですね。

*g_gさんへ achamiさんもそうおっしゃっていたので、きっとそうなんだと思います。野草だけでなく、蝶までお詳しいのですね。勉強になります。ノゲイトウは日あたりのいい河原に咲いていました。似たような環境であれば、咲いているのかもしれませんね。淡い色合いが好みです^^

*フクさんへ そう言えば中国茶ブームだった時、そんな風に飲んでましたね^^玉露は違ったのですが、このかぶせ茶はそうやって飲んでました。最初はダシのような味がして新鮮でしたよ@@秋が深まると宇治橋一帯はどんどん綺麗になるんでしょうね。つたない写真でも伝わるでしょうか??

*ゴマフさんへ そうなんですよ。ちょっと@@でした。普段は紅茶が好きでよく飲んでいるのですが、意外と日本茶の事は知らないなと今回の事で改めて思いました。お茶関連の行事は色々とあるみたいなので、機会があればまたご紹介したいです。

*はじめましてさんへ ご訪問ありがとうございます。オール電化には全く興味がない私ですが、ご丁寧にコメントも頂きありがとうございました。

*イリスさんへ nice! をありがとうございます。

*ビアンカさんへ 私も宇治に来て初めて知りました。意外と気合の入った行事だったので、面白かったです^^新茶の品評会とやらも是非見てみたいです。平等院鳳凰堂は9月に平成大修理を終えたばかりで、ゆっくり見たいと思いつつ、まだ修理後に行けていません。近いと油断して案外行かないものですね^ ^;ビアンカさんもまた是非!
by せり (2007-11-05 17:35) 

Ryu

素敵な一日を過ごされた様で何よりです。お茶っぱにポン酢をかけて食べるのには驚きました。友人が宇治でお茶農園を経営しています。一度出かけてみたいと思っていますがなかなか機会が無くて…。写真、一眼レフですか?いつもお見事です。
by Ryu (2007-11-07 00:04) 

せり

>Ryuさんへ ありがとうございます!茶葉を食べると言う発想がなかったので、驚きましたが、美味しかったです。全く苦味もなかったです。普通のお茶ではまだ試していませんが、、、^ ^;ご友人が農園をお持ちだなんて羨ましい!是非機会を見つけて体験してみてはいかがですか?写真は恥ずかしながら一眼レフです。あまり使いこなせてはいません^ ^;
by せり (2007-11-07 08:35) 

こももにゃん

せりさんこんばんは~。
やっぱり宇治もいいですね。今回の京都旅行では定番の場所ばかり巡っていたのですが、また1人で出かけたらそっちにも行ってみたいです。
それにしても「ずいずいずっころばし」がお茶壷道中の歌とは知りませんでした~。
京都はいろいろ古くからの行事が続いていていいですね(^^)
by こももにゃん (2007-11-09 00:48) 

せり

>こももにゃんさんへ ありがとうございます^ ^今月になってから京都へ訪れる方が増えているのは日々感じます。地元にいるとかえって行かない所も多いです。こういうお祭りがあると、改めて良さがわかりますね。また京都のお土産話を楽しみにしています♪「ずいずいずっころばし」はそうだったのかと、@@な話でした。
by せり (2007-11-14 09:24) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

秋到来憧れのローズガーデン ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。