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夏のSeasons(7/22) [Seasons]

長雨が少し明けると、嘘のような蒸し暑さがやってきた。ガーデナーはどうしても、このうだるような季節の庭園を見てみたかった。春にはだいたいどこの庭園も球根や宿根草が美しく咲き誇り、見応えがあるが、花の盛りが終わると皆、海や山に行ってしまい、日陰のない庭園なぞ見向きもされないような気がするからだ。

実際イギリスと違い、日本の暖地の気候では植物の成長が著しく、宿根草の見頃は短いそうだ。その考察はまたの機会にして、今回は恩師ポール・スミザーさんがデザインした、宝塚ガーデンフィールズにある庭園「Seasons(シーズンズ)」を再度訪れる事にした。(春の様子は、新カテゴリー「Seasons」でまとめてご覧頂けるようになりました!よろしければご利用下さい。)

当初は曇り空だと思い、ゆっくりと出かけたのに、午後から晴れ上がり、園内を歩き回るガーデナーの頭も、いつもにましてぼぉっとしてきた。ピントの合わない画像も多いが、このぼぉっと感が伝われば幸いである。(園内のルートはこちら→http://www.gardenfields.jp/seasons_route.htm

入って目につくのは、中央のウォーターガーデン。睡蓮、蒲、ミソハギ、ポンテデリアなど各種の湿生、水生植物が繁茂して、その池の周りにはチカラシバなどイネ科のグラス達が揺れている。園内にはほとんど人がいない。皆海にも出かけたのだろうか。

順路を進むと、一番目を引く花はルドベキア(写真左上)。大中小とさまざまな品種が群生している。やはり夏にはこういう花が似合うのだなあと思う。その合間に百合やヘメロカリスが顔を出す(写真右上)。ギボウシが潜望鏡を伸ばしている以外は、一面緑で覆われている。最近ガーデナーが注目している西洋紫陽花のアナベル(写真左下)。真っ白な花弁は今は緑に染まり、涼やかさを演出している。森林(ウッドランド・ガーデン)を更に歩き進めると、紫陽花や蛍袋の色が移ろう中、風地草も目立たぬ花穂をつけていた(写真右下)。

そこから開けたハーブガーデンへ出ると、野菜達が実を結んでいる。木でできた可愛い支柱に周りを囲むハーブ達。長雨と蒸し暑さに少し疲れ気味に見える。鑑賞用のブドウもいいなあと思うが、とうもろこしの順調な成長ぶりの方に何故だか期待が膨らむ。

早春に球根が咲き乱れていた所(ウインターガーデン)は、グランドカバーの美しい葉色が地面を埋め尽くす。ムラサキセンダイハギが花を終え、マメ科特有の実を結び、オミナエシが顔を覗かせている。アガパンサスは木陰でも比較的元気だ(写真右)。

もう一度池に出てくると、すでに一汗かいている。カモが睡蓮の合間に優雅に浮いているのが羨ましい。黄金アカシア(ニセアカシア)のアーチをくぐる。ここの木陰のベンチで一休みする事にした。

ここから、モッコウバラの橋の所に出る。タカノハススキなどのグラス達が成長し、橋を渡らないと池の向こう岸が見渡せない。睡蓮はさすがに綺麗だ。

橋を渡って入るローズガーデンの主役は、今はアガパンサス(写真上段、右)。そこにコレオプシス”ムーンビーム”(中段、左)や白いユーパトリウム、ガウラにアザミが花を添える。サマーラベンダーと呼ばれるロシアンセージが、これから青紫のカーテンを広げようとしていた(中段、中央)。ハマナスはまだ白い花を咲かせていたが、朱色の実の方が最盛期を迎えている(中段、右)。

ローズガーデンを抜け、見晴らしのいいメドーガーデンに出てくると、無風状態。ここは風に池の周りのグラス達が揺れて、秋には涼やかな雰囲気を持っている。しかし今はやわらかいフェザーグラスさえも、じりじりとした日差しの中で、ピクリとも動かない。そしてここは園内で一番陽当たりのいい場所である。人はいない。入園して一時間も経っていないと思うが、すっかりガーデナーの体も干上がってしまった。水分補給をしよう。

一旦、園外に出てエアコンの効いたカフェで相棒maruと涼む。ガーデナーは夏の暑さとけだるさをようやく思い出した。炎天下に園内を回るなんて、やはり無謀だったかもしれない。ここの所、暑いと言う感覚をすっかり忘れていた。かなり長く休息を取ってから、まだ回っていなかったメドーガーデンを少しだけ見て帰る事にした。(写真右:背の高い植物でピンクはユーパトリウム、黄色はオミナエシ)

夏の庭園で分かった事は、やはりウォーターガーデンが中心になる事と、木陰が大事だと言う事だった。そして、一時間以上歩き回らない事である。すっかり消耗してしまったガーデナーは、maruが運転する帰りの車の中で、すやすやとシエスタをとっていた。

******
記事未掲載のSeasonsの写真はPhotoにアップしました。よかったら遊びに来てください。(新着画像をクリックすると見られます。)
http://pht.so-net.ne.jp/photo/hanahana-life/


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ビアンカ

こんにちは!
花真っ盛りの季節より、真冬や真夏の厳しい環境下の庭の方が興味があります(#゚∇゚#)。
日本の夏にイングリッシュ・ガーデンを作るのは大変でしょうね…。
起伏に富んだ構成はやっぱりさすがです!
by ビアンカ (2006-07-24 10:04) 

おはようございます。「宝塚ガーデンフィールズ」、関西に行く用事がないかなぁ・・画像を見ているとここは「イギリスだ」(行ったことがないけど)、これは一度はいかねば・・と思うくらい記事も画像もいいです。
 夏休み、お疲れさまでした。記事にありました、中ノ島公園とこの「宝塚ガーデンフィールズ」、ぜひ行きたい場所になりました。
by (2006-07-24 10:43) 

achami

遅くなりましたが、1000nice!おめでとうございます〜♪

さてさて、この時期のお庭巡り辛いですよね・・・。
でも、グリーンと水系がポイントでしょうかね!!
by achami (2006-07-24 14:06) 

mippimama

夏のお庭はウォーターガーデンがあるとホッとしますね^
グラス類も素敵彡☆
by mippimama (2006-07-24 15:12) 

アンジェラス

100記事達成に続き、1000nice! おめでとうございます。
今回は、かなり気合いの入った記事ですね!
かく言う私も、本日ようやく100記事を達成できました。
普段と変わらないのに、記念記事となると身構えてしまい、投稿が大幅に遅れてしまいました (^^ゞ
今年は梅雨明けが大幅に遅れていて、撮影日和が中々訪れてくれないですね!
by アンジェラス (2006-07-24 18:25) 

いむら@fintopo

夏のシーズンズですね。研究のためにもぜひ行ってみたい季節です。
ルドベキアの夏らしい派手さと、水辺の涼しさがいいですねぇ。
その合間に、いくつかの植物がひっそりとがんばっている、という感じかなぁ?
by いむら@fintopo (2006-07-24 21:19) 

こももにゃん

暑い中、とても素敵なガーデンのご紹介ありがとうございます。
夏はウォーターガーデンがあるとちょっとホッとしますね。
でも夏でもいろいろ咲いているのですね。春の華やかさとはまた違って、とても興味深いです。自分の家の庭では、なかなか夏にきれいに花を咲かせるというのがなく植えっぱなしばかりなので。。。
やっぱりアガパンサスの薄紫が涼しげですね。こちらを見ていたら、大きい品種も植えたいなぁという気になってきました(^^)
by こももにゃん (2006-07-25 00:18) 

らいおん草

ちょうどイギリスの庭園めぐりの写真を整理していて、似ている風景に驚きました。このような場所もあるのですね。宿根草の見ごろは短いんだ。そうかも。日本の夏は植物にとって過酷かも。
by らいおん草 (2006-07-25 00:31) 

チョコまる

水辺があっても、緑がたくさんあっても、暑いものはやっぱり暑いんですね。
いつも写真がたくさんあって園内めぐりの気分を味わえます。今回は日差しの暑さも感じましたよ。
by チョコまる (2006-07-25 11:30) 

アッキー

満載だぁ! (^。^)
by アッキー (2006-07-25 12:38) 

フク

緑いっぱいですね!!
花が少なくても緑のいろいろな色があるおかげでなんかいい感じに見えます。
伸び放題、生え放題になるところを綺麗に手入れが行き届いているからなんでしょうか・・・?
暑い中、おつかれさまでした。
by フク (2006-07-25 20:12) 

春分

水辺はいいですね。ふつうっぽい睡蓮がいいですね。
ヘメロカリスは赤みの強い花色がいい。
ハマナスは北国の花で、郷愁誘う花です。
今年は帰省するので写してきましょう。
by 春分 (2006-07-26 12:02) 

せり

>皆様へ、いつもご訪問&コメント有り難うございます。暑い時に庭園は回りにくいものですが、いかがでしたでしょうか?シーズンズだけに、季節毎に行って変化を見たいなと思っています。

*ビアンカさんへ
夏や冬の庭って取り上げられませんものね。でも本当に知りたくて、悩みが多いのはその時期だったりします。ここは典型的な英国風だけではないと思っているので、何かヒントがないか通っている所です。立体感の演出も大切ですね。悩みはつきないです^ ^;

*しゅうさんへ
有り難うございます。宣伝料もらおうかな?(苦笑)ここは季節の変化を見るのが楽しい所です。同じ場所を見ていると、季節でこんなに変わるのかとびっくりします。ですので、機会がありましたら、季節を変えて是非ご覧下さい。私もしゅうさんの「チェルシー通信」などの季節の花レポートを楽しみにしています。

*achamiさんへ
有り難うございます!achamiさんを始め、長く続けてらっしゃる方にはお恥ずかしい限りですが、とりあえず続ける励みにしたいと思っています。おっしゃる通り、夏のお庭は「緑と水」ですよね。achamiさんが前にご紹介されていた群馬県の英国庭園も素敵ですね。機会があれば見てみたいなと思います。

*mippimamaさんへ
冬は寒いかなと思いますが、やはり夏になるとウォーターガーデンが欲しくなりますし、自然と目が行くように構成されているなと思いました。グラスも涼しげでいいですよね。あとは風さえ吹いてくれれば言う事ありませんね^ ^
by せり (2006-07-26 17:01) 

せり

*アンジェラスさんへ
有り難うございます!小さな事かもしれませんが、そう言う事って励みになりますね。100記事目の総力取材はしっかり拝見致しましたよ^ ^もうそろそろ梅雨も明けて、お花も撮ってもらうのを待っていると思います。夢中になりすぎて、水分補給を怠らないようにしなければいけませんね。

*いむらさんへ
頑張って取材するつもりだったのですが、ただ暑さを伝えるだけの記事になってしまいました。品種をメモしたりするのも、「まあいいか」っとさぼったりして。水辺はさすがに目がいくようになっていました。管理は大変でしょうが、春よりもずっと華やかです。春の宿根草達が頑張っていたエリアは今はカラーリーフで埋まっていました。写真だと何を撮っているのかわからない感じだったので、載せませんでした。是非また見に行って下さいね^ ^

*こももにゃんさんへ
家の庭や花壇だと場所に限りがあるので、すぐウォーターガーデンって訳には行きませんからね^ ^;広いと別の場所が季節毎にポイントを作るのでいいですが、狭い花壇だと疲れて見えるだけで、この季節はなかなか悩ましいです。私もアガパンサスがいいなと思いました。ユリやヘメロカリスなどうまく球根も使えるといいですね。
by せり (2006-07-26 17:20) 

せり

*らいおん草さんへ
イギリスの庭園のお写真があるのですか?またブログでもご紹介下さいね。日本の植物が多く使われているのに、イギリス人(恩師ポール・スミザーさんの事)だけに英国風はにじみ出てしまうものなんですね。イギリスだともっと長く宿根草の景観が保たれるそうですが、日本の暖地だと一気に気温が上がるから咲き急いでしまうし、伸び切ってしまいますものね。またイギリスにも行って違いを見てみたいです^ ^

*チョコまるさんへ
暑さ、感じて頂けましたか?^ ^木陰は涼しかったですが、歩くと日なたでも陰でも汗をかいてしまいますね。水に浮いていられるカモちゃんが羨ましかったです。落葉樹に頑張ってもらって木陰を確保しないと、いてられませんね。日本庭園に木が多いのもナットクです^ ^

*アッキーさんへ
すいません。ポイントが絞れず、ぼおっと写真を羅列してしまいました。春は全部撮りたくなりますし、夏は暑くて何がなんだかわからなくなりますね。でもどの季節でも見所は満載ですよ^ ^

*フクさんへ
夏は水生植物や湿生植物が元気でしたよ。ベランダでいつもよく育ててらっしゃるなあとフクさんのブログで感心しています。花の数は春に比べて少なくなりますし、手入れはされていても、伸びた植物達が倒れかかっていたりはしました。間延びした感じはどうしてもありますよね。それを含めて「夏の庭」なんでしょうね。

*春分さんへ
熱帯睡蓮など色んな品種がありますが、ここは基本の睡蓮って感じでした。ヘメロカリスも品種違いがあったと思いますが、暑いので特に調べず、、、^ ^;ずぼらなレポートでした。ハマナスさんと故郷が同じなんですね。原生地の写真を是非是非。期待してお待ちしています^ ^

*g_gさんへ nice!有り難うございます!
by せり (2006-07-26 17:40) 

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