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Seasons〜バラの季節〜 [Seasons]

今日の予報は、何とも歯切れが悪い。不安定だの、ぐずつくだの、降るのか降らないのか、まったく気象庁もわからないようだ。ベランダに出ると風は強いが、雨はない。ここは強行突破あるのみだ。

ベランダの子達がまだ水を必要としないのを確かめると、すぐにガーデナーは出かける準備をする。降る前に行くなら行ってしまおう。

幸い、雲間から時々お日様の光が漏れてくる。今日の目的地、宝塚ガーデンフィールズ ”Seasons"に着くと、まだ開園5分前だった。今日はどうやら、コンサートなどのイベントがあるらしく、開園直後でも思ったよりは来園者がいる。朝の柔らかい光、と言うより少しどんよりした光の中を、まずは順路通りに回る事にする。

入って左手のウッドランド・ガーデンは、実はガーデナーのお気に入りの場所だ。森をイメージしたデザインで、半日陰に強い各国の品種が自然に植栽されている。ギボウシや、紫陽花(写真↓中央上)が元気だ。ここには、いつも知らなかった植物出会えるので、毎回驚きがある。フウチソウに柏葉アジサイ(右上)も顔を見せ始めた。上を見るとカルミア(左下)もある。角を曲がるとカラーボーダーの所に、白い風露草(中央下)を見つける。これを「花園」のオステオスペルマムの後釜として迎えようか。今まで知らなかったが、ホウノキ(右下)まであった。なんとなく甘い香りが漂う。

左にはフォーマル・ハーブ・ガーデンがある。講座を受けるサマーハウスもここにある。ラベンダーが咲いている(写真左の紫色、手前はテイカカズラ)。低い生け垣の中に、渋い植栽がしてある(中央)。野菜もハーブと一緒に植栽されて、こうやって庭に取り入れると素敵だろうなとお手本になる所だ(右)。

またウッドランド・ガーデンに戻り、好きな植栽をじっくり堪能していく。好きだなと思った所は、写真に撮って、どこがいいのか後で分析すると勉強になると、恩師に教わったのを思い出す。

黄金アカシアのアーチをくぐると、チャペルの遺跡の所に出る。ここは乾燥に強い植物達が植栽されている。壁にはボピー・ジェームスが満開(左)。モッコウバラの橋を渡ると、いよいよ今日のメイン・ディッシュ、シークレット・ローズ・ガーデンだ。(中央:チェリーセージ、右:ニゲラ)

橋を渡ると漂う芳香も味わいながら、ここはしばらく黙って堪能しよう。

去年はバラの育ちが悪いと言う事で、全面にやり変えていた所だが、見事な植栽だ。バラを庭に取り入れる時は、つるバラで量感を出すといいと恩師は言っていた。そして手間のかからない丈夫な品種を選定する。そうした理由で、ここはイングリッシュ・ローズが多く植栽されている。また一季咲きと言って、春しか咲かない品種も多い。一季咲きは、花がより一層美しく咲き、秋には実をつける。たとえ病気になって、葉を落としても、翌年また綺麗に咲いてくれる。四季咲きより手間がかからないのだ。本物のガーデナーさんによると、今年は花がらを摘まず、ちゃんと秋にローズヒップを見せる事にしているそうだ。

木立ちバラと植栽されている植物は、バラと形や高さの異なる物が使われている。ハーブも多用されて、シモツケやアベリアの低木、ニューサイランやイネ科のオーナメンタルグラスもうまく組み合わされている。フウロソウやユーフォルビア、秋に花が咲くロシアンセージもある。樹木は西洋カエデとスモークツリー。それ以外に、フォーカルポイントとしてのアーチやベンチを使って、平面的になりがちなローズガーデンを立体的に演出している。一季咲きのバラの近くには、秋に活躍する植物がうまく使われている。

ここの良さは、バラの品種が全く気にならない所だ。それだけ、うまく周りと調和が取れていて、バラだけが孤立することがないからだと思う。拙いガーデナーの説明と写真だけでは、到底ここのバラの季節の素晴らしさは伝えきれない。この秋に、一番庭を作って美しいと言われる三年目を迎える。見ておいて損はない庭だ。

また来月も見に来なければと思い、ガーデナーは名残惜しく、メモリーカード一杯のカメラを手に、Seasonsを後にした。

****おまけ:そんな事言っても、バラの品種が気になるあなたへ****
(バラの写真:左から順に)(1)アーチのピンク:コンプリカータ(2)手前の白はハマナス、奥ピンクはロサ・ガリカ・ベルシコロール(3)ロサ・ムリガニー、英国シシングハースト・キャッスル・ガーデンより寄贈された。秋のローズヒップ(実)が美しい(4)ベンチ奥、コンスタンス・スプライ、イングリッシュ・ローズ(ER)第一号(5)アーチ手前の白、アルベリック・バルビエ(6)奥の白は、ロサ・ムリガニー(7)白はフランシス・E・レスター(8)ピンクはシャポー・ドゥ・ナポレオン、蕾がナポレオンの帽子に似る事から(9)手前白はボピー・ジェームス
(最後の二枚)左:アルバータイン、右:ブラッシュ・ランブラー


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コメント 11

随分沢山花たちが咲いてますね、去年ホウノキの大木に咲いている花をどうやったら撮れるか苦心惨憺したのを思い出します。
by (2006-05-27 21:31) 

ごまかん

緑とお花とバランスの良いお庭なんですね。違和感を感じない^^
このお庭を、ほんとにほんとに歩いてみたいと思いました。
お写真も素晴らしくて、何度も見ちゃいましたよ♪
by ごまかん (2006-05-27 23:31) 

僕も写真、撮る割りに、わかっていません。
by (2006-05-27 23:43) 

nonosday

しゅうさんの所から遊びにきました。一日ぶんの記事でもまるで園芸雑誌のような内容と語りに感心しきりました。もっとゆっくり読ませてもらいます。^^
by nonosday (2006-05-28 00:20) 

アンジェラス

今回も、申し訳ありませんが、写真だけを拝見させて頂きました。
このところ、天気が不安定なのでお花観賞もままならずですね (-_-;)
by アンジェラス (2006-05-28 01:49) 

チョコまる

なるほど。バラを見せるというよりは、‘バラのある庭’を見せるつくりなんですね。この時期に一度は行ってみたいですね。
by チョコまる (2006-05-28 09:53) 

絵瑠

今日も楽しませて頂きました。
園内を御一緒に歩いた感じでしたよ。
by 絵瑠 (2006-05-28 18:46) 

いむら@fintopo

ポールさんの造るローズ・ガーデンって、ある意味、謎でした。
例の番組でも、モッコウバラの剪定・誘引くらいしかなかったし。
で・・・あぁ、やっぱり、ポールさんの庭だ、という気がします。
良くも悪くも「バラ」というものを意識しすぎないこと、という気がしました。
う~ん、なんとか生で見たいなぁ・・・秋、か。
by いむら@fintopo (2006-05-28 19:56) 

こちらにも、こんばんはです。みなさんと同じ感想・・イングリッシュガーデンをゆっくり散歩している気分になりました。ありがとうございます。そう縦長の画像、それも緑に癒されます。とても雰囲気をうまく捉えていて・・まねしよう。。縦の画像に。
by (2006-05-28 21:15) 

フク

ガーデンパークを見ている時は自分も立体感や奥行き花の移り変わりをよくみたりしてしまいますね。

とてもごひいきなお庭なようで、ぜひ訪れてみたいですね。
by フク (2006-05-28 22:05) 

せり

>皆様へ、ご訪問&コメント有り難うございます。やっと出張から帰ってきました。また皆様の所にも遊びに行きますね。

*g_gさんへ 
自生しているホウノキは、とても写真がとれそうにない所に咲いていますね。庭の木はそれほど高くなかったのですが、一番近かった花だけなんとか撮れました。ここにあったとは、全然気づかなかったです。

*ゴマフさんへ
開園当初は、何もないなぁと失礼にも思ったのを恥ずかしく思います。去年もよかったですが、今年はさらに植物達が成長して充実しています。ここは長くいても飽きないですね。写真も何回か行くうちに、だいぶ撮りどころがわかってきた気もしますが、難しいです。機会があれば是非^ ^

*こうちゃんさんへ
植物の名前や品種を気にしすぎるのもどうかとは思うのですが、知っていると結構楽しめるようになりました。私も撮っている割に、カメラの機能が使いきれなくて、、、^ ^;

*nonoさんへ
初めまして!と言うか、実は私もしゅうさんの所からnonoさんの所へ遊びに行き、勝手に読み逃げしていました^ ^;本当のガーデナーの方とお見受けしましたので、初心者ガーデナーの分際で、偉そうに書いているのが恥ずかしく、名乗りでなかった次第です。ばれてしまったのを契機に、恥をしのんで今度は足跡を残していきますね。よろしくお願いします。

*アンジェラスさんへ
お忙しいのに、お越し頂き有り難うございます。写真だけ見られても、何を撮っているのかわからないかもしれませんが、目には優しいかもしれません。6月になったら、天気がいいみたいで、なんかよくわかりませんね^ ^;

*チョコまるさんへ
おっ、うまい事言いますね!今度使わせてもらいますね^ ^うんうん、おっしゃる通り、バラだけを見せるつくりじゃない所が気に入っています。庭にたまたまバラがある、ぐらいのさりげなさですね。バラを見せる庭と比較すると面白いだろうな〜。機会があれば、是非ご覧下さい!(って自分の庭じゃないけれど。)

*絵瑠さんへ
そうおっしゃって頂くと、とても嬉しいです。歩いた順路通りに写真も並べてみました。バラの所はドームを一周して撮影しています。ただこれだけで、庭のよさを伝えるのは、やっぱり難しいですね。でも楽しんで頂けたのなら、満足です^ ^

*いむらさんへ
頑張って総力取材したつもりなのですが、伝えきれない所がたくさんあります。やはり是非現地で体感して下さいませ。バラを全面に見せたい人には物足りないかもしれませんが、このさりげなさは住宅の庭にも十分応用できると思います。和風庭園と合わせてもいいぐらいの渋さでした。秋はまた様相が変わっていると思います。また是非!

*しゅうさんへ
よく見て頂いていて、とても嬉しいです。庭を撮る時は特に意識して、縦長の画像にしています。そちらだと、植栽がわかりやすいかなと思います。ただ、写真として見た場合はどうなのか、ブログで見ると横の方がいいのかなとも思います。うまく使い分けられるように頑張ります ^ ^

*フクさんへ
ガーデナー目線ですね^ ^ここは毎月来て、花が咲いているものだけではなく、花後どうなっているのかを追っていこうと思っています。これから夏に向けてイネ科の植物が成長していくので、また楽しみです。回し者のようですが、機会がありましたら、また是非お立ち寄り下さい^ ^;

*atomさんへ  nice!有り難うございます!
by せり (2006-06-01 22:02) 

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