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秋のグラスガーデン [Seasons]

ここの所お天気が続いていて、秋雨前線が近づいているとは夢にも思っていなかった。開園三周年を迎える宝塚ガーデンフィールズ内"Seasons"に行こうと決めた日曜は、朝から雲行きが怪しかった。昨日は夏が戻ったかと思うほどの残暑だったのに、今日はうってかわって20℃前後の快適さである。着いた時には、ポツポツと降り始めた雨が結構本格的に降ってきていた。うーん。とりあえず苗視察から始めよう。

併設する園芸店は充実していて、危険地帯である。今まであまり足を踏み入れなかったのは、一重に植え付け時期に合わなかっただけの事なのだ。今回は来週の「花園」植え付けに向け、最終視察になる。早速球根コーナーで、欲しかったシラー・シベリカとクロッカス・ブルーパールを見つけてしまった。ここは恩師ポールさんの所で売っている球根も手に入るので、ますます始末が悪い。

早速機嫌をよくしたガーデナーは、ガーデンめぐりを雨天決行する事にした。写真はうまく撮れなくても、有望選手獲得のアイディアがてんこ盛りなのは間違いない。

入って一番初めに目に入るウォーターガーデンの周りは、パンパスグラスとタカノハススキがぐるりと取り囲む。秋の”Seasons"の見所は、このグラス類だ。去年も秋に来て、イネ科の植物達の成長ぶりに驚かされたものだった。日本では河原に行けば当たり前に風にそよいでいるイネ科の植物を、こうやって庭に取り入れて季節を感じさせるなんて全く発想が違う。今回は見られなかったが、夕方に光が穂に透けて見えると、一層秋を感じさせる演出になる。ポールさんもこの庭の「秋が一番好きかもね」と言っていたのを思い出す。

春には球根が咲き乱れ、夏はルドベキアが埋め尽くしていた場所は、今はチカラシバが穂を広げ、風を知らせている。すっかり雑草扱いで、草刈りの対象になる子だが、学名はPennisetum alopecuroides ペニセタム・アロペクロイデス。園芸店でもペニセタムの仲間がオーナメンタル・グラスとして結構なお値段で売られているから、学名で聞くとピンと来る人もいるかもしれない。

道ばたに咲いている事も多いが、チカラシバの名の通り、引き抜くのは至難の業なので、穂から種をさりげなく採取してくるのが、スマートでよろしい。これももちろん恩師から教わった奥義である。イネ科植物は穂の色が異なる珍しい品種が、誰にも気づかれず道ばたで咲いている事も多い。イネ科マニアの恩師はそうした品種を見つけては、楽しく種を採取してくるそうだ。

ウッドランド・ガーデンから順路通りに回る。花が終わったルドベキアは花がらを摘まないで、その枯れ姿を楽しむようになっている。その横からヤブランが紫の穂をかかげているのとは対称的だ(写真中央)。ここは紫陽花も花がらを摘まない。「花園」に招集する事になっているアナベルも、ここでは春先に剪定されるまで、花色の変化を楽しむ演出になっている(右)。(順路はこちらから→http://www.gardenfields.jp/seasons_route.htm

コムラサキシキブ(写真中央)や、ヤツデの葉(左)を鑑賞していると、クリスマスローズの葉が勢いを増していた事に気づく。石組みから枝垂れる大好きなフウチソウの横で(右)、白萩が見頃を迎えていた(写真下段)。春夏には気づかないのに、秋になると急に自分の存在を知らせる萩は、是非獲得したいと思っている有望選手だ。

恩師がいつも箱形に切られて可哀想だと嘆いていたアベリアは、もちろんここでは自然樹形のまま、綺麗な花を咲かせている(写真左)。もっと低めに剪定して、グランドカバーの様に使っているエリアもある。そして密かにお気に入りのヒペリカム・エンビーフレア(中央)。オトギリソウの仲間で、小柄な花がいい。そして実は赤く、花が黄色で対照をなしているのが、鑑賞価値大である。まだ苗で見かけた事がないのだが、いつかは「花園」にお迎えしたい。

ここからハーブ・ガーデンへ寄り道。夏の間お疲れ気味だったハーブもサルビアを筆頭に勢いが戻ってきた。ハーブはよく陽当たりのいい所に植えがちだが、関西の夏の暑さにぐったりしてしまう。ベランダの子も半日陰で助かっている気がする。庭植えにする時は、半日陰だと徒長する心配もあるが、夏は日陰になるような所に置いておく方がいいだろうなと思っている。(写真左上:サルビア・レウカンサ、中央:カラミンサ、右上:気に入ったハーブの組み合わせ、左下:カリガネソウ、右下:ジャスミン)

ハーブ・ガーデンを抜け、ウィンター・ガーデンに出るとシュウメイギクとオミナエシがお出迎え。「花園」のシュウメイギクはもうダメなんだろうなと思いながら、今度は白を植えてみようかと相変わらず懲りない考えを抱く。だってやっぱりこれは秋の庭に欲しいではないか。オミナエシが日陰でも育っているのに感心するが、雨なのに、やはり臭気が漂う。この臭いさえなければなといつも思う。(左上:黄色はオミナエシ、中央:シダとギボウシの組み合わせ、右上:クリスマスローズの葉とムスカリの葉、下段:シュウメイギク)

クリスマスローズとムスカリが来春に向けて着々と準備を進めるのを確認しつつ、再び池に出る。グラス達を右に眺めていると、左からは紅白の萩が枝垂れてくる(左上:逆方向から撮る)。その向こうにはフジバカマがこんにちわと顔を出す(右上)。ここもあまり日が差さない所だが、綺麗に咲いている。この光景に、スカウティング・リストの順位は赤丸急上昇する。(写真左下、中央:コバノセンナ、右下:フジバカマのボーダー)

黄金アカシア(ロビニア)のアーチを抜けると、乾燥に強い植物達が迎えるドライ・ガーデン。ここでもススキが存在感たっぷりだ(写真左)。お気に入りのチェリーセージに挨拶する。普通の赤の品種もあるが、特にお気に入りは「ホットリップス」と言う、白地に紅をさした様に、赤味が入る品種だ(右)。

今回は思うように庭らしい写真が撮れていない分、いつもにもまして饒舌すぎたようだ。前編後編の二部構成でお届けする事にした。橋の向こうのローズ・ガーデンは後編に続く。


(左:ローズガーデンを望むが、ススキでもう橋が見えなくなる。右:橋の上から池を眺める。)


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Ryu

宝塚のSeasonsは以前から行って見たいと思っていました。詳しい紹介記事(力作)を見て、近々に行ってみようと思いました。★★★
by Ryu (2006-10-01 22:22) 

絵瑠

せりさん、こんばんは。
雨に濡れた植物達がとても綺麗ですね。
何度も繰り返し見せて頂いて居ります。
後編も楽しみにお待ちしています。
by 絵瑠 (2006-10-02 00:41) 

チョコまる

雨の降る庭園もいいですね。
最近‘川原’そのものを見かけないので、ススキなどのグラス類も見かけないですね…
by チョコまる (2006-10-02 10:11) 

ごまかん

グラス類が秋の風情ですね^^
チカラシバはここいらでも見かけますが、庭に取り入れてもいい感じなんですね。
Seasons、ますます行ってみたくなりました♪
by ごまかん (2006-10-02 14:34) 

nonosday

せりさんの案内がいいのでしょうか、見所がわかって品種も紹介して下さるので、庭園の良さにうっとりしてしまいます。
by nonosday (2006-10-02 22:50) 

atom

ここの庭園も、もう秋ですね。
雨でしっとりしたススキもいいですね。
by atom (2006-10-03 01:29) 

秋が深まった感じですね。
しっとりした雰囲気がいいですね。^.^;
by (2006-10-03 06:09) 

まだまだ花達が一杯ですね!羨ましい。
by (2006-10-03 06:48) 

フク

秋の植物園って寂しいと思いきや、華やかですね〜!
でも花の色、葉の色は落ち着いた色でやっぱり「秋」って感じですね。

それにしても整理された写真いっぱい、解説丁寧なblog構成はいつ見てもすばらしいです。
by フク (2006-10-04 00:34) 

rose-k

秋の植物も風情があっていいですね~^^
こちらではたくさんのお写真を拝見できて、とても参考になります。
ところで、ムラサキシキブとコムラサキの識別方法をご存知でしたら教えていただけませんか?
by rose-k (2006-10-04 10:46) 

achami

とても全部覚えられません・・・。
ピンクのシュウメイギク、良いですねぇ〜!
by achami (2006-10-06 00:00) 

せり

>皆様へ、いつもご訪問&コメント有り難うございます。かなりの雨だったので、思い通りに動けず、咲いている花の雰囲気を撮っただけになってしまいました(しかもピントが合ってない; ;)。本当はもっと素敵な庭全体を撮りたかったのですが、また今度にします^ ^;

*Ryuさんへ
是非一度ご覧になって下さい。季節毎に見頃が変わるので、いつ行っても楽しめると思いますよ。ただ夏はさすがに暑いので、お気をつけて^ ^;春と秋はやはり歩いていて気持ちがいいですね。

*絵瑠さんへ
かえって雨に濡れた方が、植物達が綺麗に見えますね。ただ肉眼ではそう見えるのですが、それを画像に残すのは難しいです。ピントは合わないし、レンズも曇ってくるし、撮っている本人はずぶ濡れだし、、、^ ^;雰囲気だけでも味わって頂けたら嬉しいです。

*チョコまるさんへ
しとしと降っている庭園はいいのですが、ざあざあ降られると困りますね^ ^;でも植物達は雨に濡れて綺麗でした。「川原」がお近くにないのですね。うちは郊外なので、少し歩けば川だらけなんです。とは言え薮蚊の餌食になるだけなので、わざわざ歩きには行きませんね^ ^

*ゴマフさんへ
こちらに来られる機会がありましたら、是非お立ち寄り下さい(回し者?)^ ^チカラシバを庭に取り入れるなら、自然に生えている様に、でも勝手に生えたのではない様に(?)見せないといけないので、難しいなと思いながら、回ってました。ゴマフさんのお庭なら広さもあってうまく取り入れられそうですね^ ^

*nonoさんへ
回し者になっていますかね?^ ^;去年にポールさんの講座を受けているので、ご本人直々に説明してもらうと「なるほど」と思いますね。多分もっと隠れた見所が沢山あると思うのですが、勉強不足の所もあり、これぐらいなのです。nonoさんなら、きっとまた違った視点で楽しまれるでしょうね^ ^
by せり (2006-10-08 17:58) 

せり

*atomさんへ
atomさんが雫に濡れたお花や葉をとても美しく撮られていたので、イメージトレーニングは万全(?)でしたが、やはり現実は厳しく、玉砕って事で、、、^ ^;雨上がりに撮るに限りますね。でも植物達はとても綺麗でした。

*koi3さんへ
晴れていても苦労するのに、雨の日だと本当にピントが合わず大変でした。使い物にならない画像までアップしてしまいお見苦しいですが、少しでも秋の雰囲気が伝われば嬉しいです^ ^

*g_gさんへ
g_gさんの所では秋はもっと深まっているのでしょうね。こちらはようやく夏から秋めいてきたばかりです。ようやくキンモクセイの香りも漂うようになりました。秋はしっとりとした花も多くて、好きな季節です^ ^

*フクさんへ
褒めて頂いて嬉しい反面、今回はいつにもまして画像がひどいので、解説は丁寧さを心がけました^ ^;デザインしたご本人が好きだと言っているぐらいですから、ここは秋が見応えあるんだと思います。ちょっと玄人好みかもしれませんが。秋の花は、春とは違った魅力がありますね^ ^

*rose-kさんへ
私も最近どうやらムラサキシキブと呼ばれているのが、コムラサキらしいと言う事に気づいたばかりなのです。実が多い少ないの違いしか、残念ながらわからないのですよ^ ^;ご参考までに→http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/komurasaki.html勉強が足りませんね。今回は画像がひどいので、数で雰囲気を伝えてみました。見にくかったらすみませんm(_ _)m

*achamiさんへ
私も偉そうに書いていますが、書いていないと忘れるので、ブログに残しているだけなのです^ ^;いつもうろ覚えで、忘れる度に自分のブログを検索しています。もしよろしければ、そんな感じでお気軽にご利用下さい。シュウメイギクはやっぱりいいですよね^ ^

*春分さんへ いつもnice!有り難うございます!^ ^
by せり (2006-10-08 18:20) 

rose-k

参考ページのご紹介、ありがとうございました!
うちのは、コムラサキのようだということがわかりました。(園芸品種ということですよね~^^)
by rose-k (2006-10-10 12:09) 

can

 うちのブログのアクセス解析をしていたらヒペリカム・エンビーフレアーの検索でそちらのブログもひっかかり、訪問させていただきました。
 2006年の記事ですら、もうすでにエンビーフレアーはお庭の仲間入りしていますでしょうか。
 まだ、でしたら、切り枝でしたら、差し上げますよ。ちょうど挿し木に良い季節ですので・・・
 ヒペリカム、大変強健ですので、挿し木で簡単に増やすことができます。ただこの品種は、登録品種のため営利栽培はできないとのこと。

 ご入用でしたら、うちのブログのメールアドレス宛ご連絡どうぞ。
by can (2009-06-10 06:44) 

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