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京の桜~二条城編~ [ガーデン]

京の桜のしんがりを務めるのは御室桜と決まっているらしいが、ガーデナーにはどうしても会っておきたい桜が別にあった。駿河台匂い(スルガダイニオイ)御衣黄(ギョイコウ)である。

両者共遅咲きで、大好きな紅枝垂れの花時に訪ねても、固く蕾を閉ざしていてなかなか顔を拝めない。おまけに植栽されてある所が極端に少ない。ソメイヨシノをあんなに植えておくなら、一本か二本でいいから、駿河台匂いの場所を開けておいてくれないかとさえ思う。そんなに見たけりゃ植物園に行けと言われそうだが、見本としてではなく、ちゃんと庭園に植栽されている桜が見たいんである。

そんな我が儘をかなえてくれる場所、それは灯台下暗し、なんと二条城である。二条城と言えば、誰もが一度は修学旅行やら、遠足で連れて行かれたであろう超メジャー級観光地。去年は時間がないと言いつつ、ライトアップだけそそくさと拝んできた。夜の紅枝垂れとヤマザクラのトンネルは幻想的で、いとをかし。水面はなくとも十分に見応えがあった。

しかし日中となると…。思案したあげく、時間の空いたある晴れた平日に、相棒maruの乗る通勤電車に一緒に揺られ押されて、二条城開城と同時に突入することにした。(交通アクセス)

朝8時45分に城に「出勤」したガーデナーだったが、着いて見ると、もうすでに一台の観光バスが外国籍の旅行者を吐き出していた。でもまだたかが一台である。平安神宮と違って、ここはだだっ広い。ひるまず、桜マップを片手に二の丸庭園から入る。
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(手前の桜は御所御車返ごしょみくるまがえし)

修学旅行生と外国人旅行者のグループが散策する中で、明らかに浮いているガーデナー。そんな事は気にせず、まずは小堀遠州が作庭したと言う庭園を堪能する。
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(←縦長の石が特徴の二の丸庭園の様式、→ソテツは当時の権力の証)

さて、いよいよ桜の園へ。皆、本丸庭園へ流れたのか、見事なサトザクラが満開だと言うのに観客がいない。天気はすこぶるいい。ここの桜も思いきり地面に向かって咲いているので、勝手に懐に潜り込み、桜シャワーを浴びる事にする。
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(桜シャワー、品種は多分、サノザクラ)

次に南中仕切門から本丸御殿を囲う様に続く散策路 へ。ここの道はライトアップのコースではない。鳥の声だけが聞こえ、澄んだ空気が心地好い。こんなにゆっくりできるとは予想外である。この道なりにあの駿河台匂いが三本植わっているはずである。ああ、枝垂れも綺麗だ。

一本目を発見したが、樹高が高く、真の目的である匂いを嗅ぐ事は不可能だった。むむ、残念。次に期待しつつ、八重の紅枝垂れを味わう。
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(←紅枝垂れの小道と、→枝垂れの後ろにある駿河台匂い)

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次の駿河台匂いの場所にやって来た。皆、紅枝垂れには足を止めても、駿河台匂いは完全無視である。この木なら匂いが嗅げそうだが、花粉症で鼻の通りが悪い事に気付く。ようやく会えたのに…。しかしどこからか風がそよいだのか、微かにあの桜餅の香りがしてきた。もっと本数があれば、はっきりと分かるかもしれないが、そこはかとない上品な香りもいいものだ。



(←もう少し近くで見たい嗅ぎたい駿河台匂い)
















最後は御衣黄だと勇んで清流園に向かう。ここからはライトアップのコースになり、紅枝垂れと山桜のトンネルが幻想的だった所だ。しかし、なんと、御衣黄が植栽されている場所が立入禁止になっている!

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ああ、お願いだ、入れてくれぇ。一目でいいから拝むだけでいいんだぁ。
と心の中で叫んでみても、どうしようもない。咲いていても緑の花なので、離れていて良く見えない。軽い衝撃。まあ、今回は駿河台匂いに会えただけでも良しとしよう。

ゆっくりと回っていたら、いつの間にか人が多くなっていた。10時も過ぎると、停車中の観光バスが門の前で連なっている。この後天気も悪くなるので、今年の花見ももう終わりであろう。桜が終わりに近付くと、今度はいよいよ種まきシーズン到来である。爽やかな朝の散歩を終え、意気揚々と帰途に着くガーデナーであった。

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(←ライトアップが綺麗だった山桜のトンネル、→目覚め始めた藤)

(撮影:4/15)

春の交響曲 [花壇]

少し前に下書きしておいた記事ですが、とりあえずアップしておきます。溜っていた画像も一挙公開しますので、枚数が非常に多いですm(_ _)mご注意下さい。

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今日は又一段と高く指揮棒が振られたに違いない。昨日まであんなに固そうだった芽が次々と吹き出している。まるで噴水が湧き上がってくるかのように、その勢いはもう止まらない。

どこで誰が、この春の交響曲を指揮しているのだろうか。何か号令や合図があるに違いないといつも耳を澄ませているのだが、ガーデナーの耳には残念ながら届いては来ない。ふと気が付けば、もう曲が流れている。植物達が、指揮に合わせて演奏している姿を見つけて、ただ呆然とするばかりだ。

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第一楽章はスノードロップ。静かな美しい調べは、まだほとんどの人の耳には届いてこない。しかしこの穏やかな序章が流れる頃、冬の渡り鳥は旅支度をし、小鳥達は高くさえずりを始める。白いうてなの輝き。そう、春は静かにやって来ている。

(→2/24:モミジの下にて、次々と咲き始めるスノードロップ。手前の枯れ枝はシモツケ。)






細い静かな旋律が暫く奏でられた後、少しトーンが高くなる。華やぎの春色、第二楽章クロッカスだ。日はどんどんと高くなり、白一色だった地面に色鮮やかさが出てくる。この調べが流れる頃、注意深い人なら、春らしいと感じ始める。普通の目線ではわからない。息をひそませ、しゃがみこみ、地面を、足元を見なければ、見逃してしまいそうなほどの兆候だ。

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(←3/9時点の南の三角花壇にて、黄はクロッカス・ギール、薄紫はブルーパール、→スイセンのテータ・テート)


春は足元から輝き始める。音色も増してくる。眩しい黄色のクロッカス・ギールに、真珠の輝きを添えるクロッカス・ブルーパール。ティタ・ティタと管楽器を奏で始めたのは、スイセンのテータ・テート。負けじとシラー・シベリカが間隙をぬって合いの手を入れる。カタクリや春蘭が、恥ずかしそうにうつむきながら顔を覗かせる。
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(←西の日陰の花壇にて、青のシラー・シベリカとプリムローズ、↑デッキの植え込みにて、ジューンベリーの下で咲くカタクリと→春蘭)

交響曲0001_11.JPGパーンと弾けたのは、ジューンベリーの白銀の葉。オレンジに萌えるシモツケ・ゴールドフレームの目覚め。徐々にクレシェンドへと、調べは高鳴り、軽快な第三楽章へと引き継がれる。


←4/2時点のモミジ下にて、目覚めた始めるシモツケ・ゴールドフレーム)








第三楽章チューリップこの調べが流れると、もう誰も彼も春が来たことを実感する。桜前線だ花見だと色めき始める。そわそわと落ち着かず、何か始めないといてもたってもいられない。

高くファンファーレを響かせたのは、チューリップ隊を先導するシルベストリス。それを合図にトルケスタニカのバイオリンが一斉に旋律を奏でる。スイセンのバルボコデュームのトランペットが、高らかに春を宣言する。ムスカリのティンパニーがあちこちで響き渡る。オーニソガラムやプシキニアのパーカッション隊が賑やかにリズムを彩る。
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(4/2の三角花壇にて←早咲きのシルベストリス↑トルケスタニカ→黄色はスイセンのバルボコデュームとプシキニア)

そして天を差し、お日様に手を広げるレディー・ジェーン。ライラック・ワンダーの愛らしいピンクとお日様を映し出したかのような黄色のドレスが、第三楽章を最高潮に盛り上げる。
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(4/9時点モミジ下にて←レディージェーン→三角花壇のライラックワンダー)

第三楽章はまだまだ続く。この後クリサンタが道化師の衣装で登場し、スノーフレークのランプが日陰の暗い舞台をも煌々と照らし出す。目覚めよ、宿根草達!再会の喜びをその芽で祝おう!

こうして春の交響曲は、バラの目覚めまで続いていく。皆様の元にも、もう交響曲は聞こえ始めただろうか。


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(←4/9時点の東側花壇にて、スノーフレーク、→4/9時点の南の三角花壇、黄と赤の二色のチューリップがクリサンタ)


京の桜〜平安神宮編〜 [ガーデン]

京の桜は枝垂れている。何故人がこの時期京都に殺到するのか、何故京都の桜は違うと言われるのか、ガーデナーは正直よくわかっていなかった。昨年は引越し準備で花見どころではなかったのだが、今年、宇治川沿いや鴨川沿いの桜を見てふと気付いたのだ。

大阪の桜が、若く、株間が狭く、直立不動で空に向かって咲いているのに対し、京の桜は地面に向いて咲いている。いや、水面に向いている。なんだったら水面に咲いていると言ってもいいぐらいだ。
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(4/3の宇治川付近のソメイヨシノ)

その立ち姿は、枝下れ桜であっても、ソメイヨシノであっても変わらない。天女が衣を少し着くずし、水面に向かってしなだれかかり、小首を傾け、僅かに紅さした唇に微笑みを浮かべ、流し目で舞を舞っているのである。こんな天女の妖艶さを見たら最後、人は皆同じ魔法にかかって、放心状態になり、そこを離れようとしない。ある者は口を開けたまま、立ち尽くし、ある者は驚嘆の声をあげ、ある者は少しでも天女を側においておきたい一心で、やみくもにシャッターを押し続ける。

平安神宮の神苑に一歩入った途端、またそんな魔法にかかった人達で溢れかえっていた。前に進めないのも仕方あるまい。ここには紅枝垂れと言うとびきり美しい天女が舞い降りているのだから。空にはピンクの天蓋がかかり、皆自分がどこにいるのか分からなくなってしまう。
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(中は押しくらまんじゅう状態だが、そんな事も忘れさせてくれる紅枝垂れ)

その天蓋を抜けると、目の前に池が広がり、夢見心地からようやく我にかえる。その後は暫く狭い山道のような通路がある。薄暗い木のトンネルに、急に森に入ったような錯覚に襲われる。そして再び視界が開けると、また小さな池と桜が出迎える。ただここまでは、とっておきの天女達に廻り合うまでの単なる布石に過ぎない。
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(←一つ目の池、→森を抜けた所の池)

クライマックスには更に大きな水面に浮かぶ天女達が迎えてくれる。そう、京の桜は水面に咲いていないといけない。その向こうには山がないといけないし、橋もかかってないといけない。衣をかける松の木だっている。天女を迎えるには、それなりの舞台装置を用意しないと失礼なのだ。
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(なかなか立ち止まれないので、撮影は困難だが、実物は素晴らしい。)
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すっかり魅了されたガーデナーは、岡崎公園で花見弁当を広げる。一緒だった母親も叔母も大満足のようだ。ソメイヨシノは散り始めたが、京にはまだまだ妖艶な天女が舞っている。昨年の花見不足を取り戻すかのように、ガーデナーは目をきょろきょろさせながら、天女の姿を追い求めている。

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(目に焼き付く天女の残像)

(4/9:撮影)

*****参考*****
八重咲きなので、まだ見頃は続きます。
(1)平安神宮の紅枝垂れについて→http://www.heianjingu.or.jp/09/0401.html
(2)神苑の説明はこちら→http://www.heianjingu.or.jp/09/0101.html

*****ひとこと*****
親愛なる皆様へ、
仕事や確定申告等々に忙殺され、長らく更新をさぼってしまいましたが、またぼちぼち書いていけそうです。ブログを始めて、早や2年。さぼり倒しながらも、今回でめでたく200記事までこぎ着ける事ができました。これも全て、訪問し、暖かいコメントをして下さる皆様の御陰です。本当にありがとうございます。今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m

気まぐれガーデナーより


雪と野良猫と剪定式 [ガーデニング]

朝、窓からデッキを見ると白い。当地が白銀に覆われるのは十数年ぶりだそうだ。

前回の記事を読み返し、余りにもひどいものぐさぶりをさすがに反省したガーデナーだったが、いざ剪定をと士気が高まると雨や雪に阻まれ、久々に好天に恵まれた日には決まって仕事や用事が入り、一向に作業が進まなかった。その間、ガーデナーがやっていたのは、執拗な野良猫の攻撃に対する鉄壁ディフェンスである。

(←デッキの中のニゲル、→雪の翌朝の西側花壇、あああ)

野良猫との戦いは実は春から続いていた。ただ植物達が繁茂していた間は事実上休戦状態だった。一年草が消え、冬枯れになった途端、フカフカの腐葉土が足跡で踏み固められ、まだ芽の出ていない球根が堀りくり返され、シャポー・ドゥ・ナポレオンの株元には発酵していない「有機肥料」が埋め込まれるようになった。

被害を少しでも食い止めようと、色々試してみたが、ホームセンターで売られている各種「嫌がらせ商品」はほとんど効果がなかった。唯一、木酢液の原液を布に染み込ませて置いておくと、暫く忌避効果が続いた。しかし野良猫も複数だ。別の猫が来るとまた戦術を変え、守らなくてはならない。最近は木酢液入りの布に気付き、それを土に埋め込んでから、すぐ横に新鮮でカグワしい「お印」を残すなど攻撃が実に挑発的である。ガーデナーは雨の日も雪の日も毎朝、この野良猫の「お宝探し」に付き合わされているのである。

それでも、ある晴れた午前に時間が出来たので、漸くオールドローズの剪定式を執り行う事にした。

地植えにするノエル君は、誘引しやすい様に軽く枝を整えるだけにした。サーヤは悩みながら、芽の位置を穴があくほど見て剪定していく。剪定三か条(*)に加え、今年は芽を読む事を心がけた。一般的には、外に芽が向いている所の少し上を切るとよいとされている。しかしそうすると、サーヤの様な横張り性のバラは、どんどん横に広がっていく。今までなんでこの子は枝ぶりがやんちゃなのかと思っていたが、他でもない、ガーデナー本人がそうなる様に剪定してしまっていたのだ。今回は縦のほっそりしたラインを夢見て、内側の芽の所でも切ってみた。今年はどんな枝ぶりになるだろうか。

(←これでも剪定したノエル君、→今度は優しく咲いてくれるかな、サーヤ)

最後のシャウシャウは、唸りながら切る。古枝がチュウレンジバチのせいか、裂けて枯れたように見える。優しい枝ぶりにするため深く切った事はないのだが、枝を更新するため、裂けた所は思いきって全部切った。幸い赤い芽は根元から見えている。こんなに背の低いシャウシャウは初めてだ。とても不安になるが、切った後ではどうにもならないので大丈夫だと言い聞かせる。

(シャウシャウの剪定ビフォーアフター。ほんとに大丈夫か??)

土替えは翌日の雨が降りやんだ午後になんとか終える事ができた。根を水洗いし、元の鉢に入る様に切り揃える。ノエル君には南の三角地帯を用意し、球根を避けながら穴を掘った。寒さに手がかじかみ、何度も薪ストーブで体を暖め直しての作業だった。培養土を変えてみたが、さてこれもどうなるやら。

次の朝は再び白銀の世界だった。本当に今年は剪定式のタイミングが難しかった。でもとりあえずは無事に一大イベントを終える事ができて、一安心だ。背の低くなったバラを眺め春を待ちわびるガーデナーに、咲き始めた白い天使が、雪の中から微笑んでいた。


(←白い天使こと、スノードロップ、→maruのお気に入りの椿にも雪)

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*剪定三か条については去年の記事をどうぞ→http://blog.so-net.ne.jp/hanahana-slow-life/2007-02-14

*今週末より梅を愛でる旅に出ます。それから来週一杯は仕事に追われるので、更新はしばらくお休みします。でも皆様の所にはぼちぼち遊びに行きますね^ ^


春のきざし [ガーデニング]

「暦の上では立春ですが、まだまだ…」と、各メディアが枕詞を唱え始めると、にわかにガーデナーは落ち着かなくなる。人は気温や天気や暦で季節を感じているかもしれないが、植物達は違う。彼等は、100年間かそこらの観測データではじき出した平均気温とか平均降雨量とかには左右されず、太古の昔から日照時間の変化を感じ取り、季節に合った準備をちゃんと始めているのだ。

冬至を境に日は確実に長くなり、光の波長は春めいてくる。お向かいの三階建てや少し離れたマンションに隠れて朝はなかなか顔を出さなかったお日様が、今はもうあんなに高い。あれほど、あと1m、あの屋根が低くならないかと、南側の住宅地一帯を恨みがましく眺めていたくせに、いざお日様がその屋根を軽々と越えて照らし出した途端、なんでそんなに早いんだとガーデナーは焦り始める。

何故焦るのかと言うと、2月になると急に「期限」が目の前にちらつき始めるからだ。落葉樹の植え替え、植え込み、剪定、ついでに確定申告。中でも最大のイベントがバラの剪定式と植え替えである。これらの作業を全部2月中に終えなければならない(できれば確定申告も)。今年は閏年で一日多いのが少しありがたいぐらいだ。

なのに、気温は真冬だし、天気は悪いし、作業は面倒くさいものばかりだ。植栽の穴を埋めるべく招集された苗達も、デッキで待たされたままである。

(←わーい、こんなに買っちゃった^ ^;、↑白の侘助がありました♪、→ニゲルも元気です)

ぐずぐずしてるうちに、クリスマスローズのオリエンタリス達がそのドレスを披露し始めた。見れば、ずっーと咲きっぱなしだった秋咲きの原種スイセンが萎み始めている。そしてカレル・チャペックが「春のきざし」と呼んだスノードロップの小さな白いうてなが、日の光にくっきりと照らし出されるようになった。

(紅白のクリスマスローズ達はこれからが楽しみ)

ああ、もう咲いてしまうのかい。もう少し待っておくれ、スノードロップ。いつもは開花する度に有頂天になっているガーデナーだが、白い天使の「春のきざし」に完全に置いてけぼりをくっている。


(君達が咲いたら、バラの剪定式をしないとね、ああ、寒いな^ ^;)

(撮影:2/1&2/5)

*****参考図書*****
以前にも引用しましたが、今回もしつこく引用。

園芸家12カ月 (中公文庫)

園芸家12カ月 (中公文庫)

  • 作者: カレル チャペック, Karel Capek, 小松 太郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1996/03
  • メディア: 文庫


「二月の園芸家」を読むと、「2月のシーズンのもう一つの仕事は、春のいちばん初めのきざしを嗅ぎ出すことだ。」とあります。カレルによれば「春のきざし」は(1)「クロッカスの芽」(2)届けられる「園芸カタログ」(3)「スノードロップ(ス)」(4)園芸道具や資材を手に庭に飛び出してくる「隣家のあるじたち」だそうです^ ^v


寄せ植えと植え替え [夢の庭]

1月最後の週末を新年のカレンダーが告げる頃、ふとガーデナーは二ヶ月間ほとんど何の作業もしていない事に気付いた。2月になればバラの剪定や土替えと言う一大イベントが控えているのに、ぼやぼやしていてはいけないではないか。

まずは、クリスマスローズの植え替え。ニゲルを植えますに移し、リビダスは葉が綺麗なので寄せ植えにして、玄関前を彩ってもらう事にした。開花鉢は根がパンパンに回っていた。模範的ガーデナーなら買ってすぐ植え替える所だが、一週間放置していたのだ。しかもこれでもまだガーデナーにしては早い方である。

ニゲルはすぐに植え付けられた。リビダスの方は久々にいちからの寄せ植えである。そう言えば、こんな事するのは二年ぶりかもしれない。今回は初の試みとしてプリムラを使ってみた。

かつては興味がなかったのに、六甲高山植物園でイギリス原産のプリムラを見てすっかり魅了されてしまった。淡くクリームがかった黄色の花びらが、春の使者に見えたのだ。原種はほとんど高山植物に近いせいなのか、店頭に並ぶのは暖地栽培用に改良された園芸品種しかない。その中でも原種のイメージになるべく近い子達を選んでみた。みーさんの所で見掛けたゴールドレースらしき品種も獲得。あとはラグラスやコルジリネで締めてもらう事にした。プリムラは夏越しが難しいので一年草のつもりで使う。もし宿根してくれれば儲けものだ。耐寒性のないワイヤープランツにも挑戦する。ダメなら自前のヘデラに即交換である。

(←左端のプリムラがゴールドレースもどき??、→デッキの植えますのニゲル)

作業を終えた所で雪も降ってきたし、お昼休憩をとる。

(玄関前の劇的ビフォーアフター)

午後から相棒maruが「趣味の園芸」を見て感化された椿とバラ用の土を探しに、近くの園芸店に出掛ける。maruは機会があれば、すぐ樹木の苗木を買ってしまう。放っておくと、ただでさえ狭い家の回りの地面に貧弱な森ができてしまいそうだ。「鉢植え以外不可」と言う条件で、店に行く。

白の侘助があるとよかったのだが、あいにくない。と、近くのクリスマスローズの開花鉢に磁石の様に吸い寄せられる。おお、欲しかったオリエンタリス系の白のスポットがある。スイッチが入ってしまったガーデナーは、椿の事などすっかり忘れ、「貴婦人」の有望株獲得に向けてスカウト活動に専念する。

色、形、大きさ、株元、値札を片っ端から入念に検閲し、時には鉢をおもむろに手に取り、株がぐらついていないかを一瞬にして見極める。これをある程度「品格」を持って、かつ手早く、良識あるガーデナーとしての体裁を保ちながら行う。スカウト活動も案外楽ではない。

途中でmaruも加わり、検討の結果、紅白のオリエンタリス計2名と、maru推薦のステルニーが地植え選手として選ばれた。帰って早々、獲得選手達を現場に配置。紅白オリエンタリスは乾燥してグランドカバーもうまく育たないモミジ下の奥へ(写真左下)、ステルニーは西側のエゴノキの根元で頑張ってもらう(右下)。

地植えにすると、貴婦人達のドレスがよく見えないのが難点だ。暖かくなったら土を足して花壇をもう少し立ち上げてみよう。みすぼらしかった外の花壇も貴婦人の活躍で、少しはましになっただろうか。そうこうしてる間に春の足音はもうすぐ聞こえてきそうである。


(どちらもスポットが可愛いのだが、見えそうで見えない; ;)

(撮影:1/27-28)

*みーさんのプリムラはこちら→http://mie0123.blog44.fc2.com/blog-entry-514.html#pagetop


薪ストーブのすすめ [その他]

今年の冬は暖かい。と言っても室内の話である。そのぬくもりは早春のお日様のように優しく、あらゆる物質に浸透し、穏やかな気持ちへと誘う。炎のゆらめきは、失った太古の記憶を呼び覚ますかのように、パチパチと語りかけ、また時には甘美な香りを漂わせ、見ている者を飽きさせない。

我が家のリビングの中心に座しているのは、例の四角い画面の電気箱ではない。頑丈な鋳物のオブジェであり、それは薪ストーブと呼ばれている。普通は薪ストーブと言うと暖房器具だと考えるだろう。ガーデナーもご多聞にもれずそう思っていた。なので、相棒maruが去年の今頃、新居に薪ストーブを入れると言いだした時、「ええーっ?!」と言う反応だった。

まず暖房器具にはあるまじき初期投資の高さ。煙突工事込みで、軽自動車なら十分おつりが来る額である。燃料は薪だが、山に住んでいる訳ではないから、当然注文し取り寄せないといけない。おまけにかさばるので、保管場所に困る。灯油やガスに比べると、いくら高騰しているとはいえ、薪代の比ではないだろう。ご近所の了解もいるだろうし、設置する事の恩恵よりも、問題点ばかりに考えがいく。しかしそんな心配も、maruの「子供の時からの夢やねん」の一声に掻き消されていった。

工務店も自然な家づくりを売りにしていて、受付に薪ストーブを置いているぐらいだったので、営業さんとトントン拍子に話が弾む。maruの夢は、「土地を買い、お気に入りの建築家に設計を頼み、暖炉をつくる」だったらしいのだが、現実は「2番目に好きな建築家が監修した」、「建売住宅」に、「薪ストーブを後付けする」と言う形でかなうことになった。

ガーデナーが納得したのは、薪ストーブ専門店で実際にその暖かさを体験してからだ。輻射熱や、遠赤外線だのと言う説明の後、「空気ではなく物質そのものを暖める」事に目から鱗が落ちる。自分自身がじっくりとローストされているような実感。他の暖房器具とは暖かさの質が全く違ったのだ。

5月に引っ越したので、半年間薪ストーブはオブジェであった。11月に無事火入れ式を終えた後は、maruが毎日薪ストーブの番をしていた。帰宅時間が異様に早くなり、帰ると着替えもせず、真っ先にストーブの前でまずは火をおこす。放っておくといつまでも居座っている。火を扱うと言うので初めはおっかなびっくりだったガーデナーも、一週間後には火をつけ、薪をくべることができるようになった。実際に火をつけてみると、ガーデナーもmaruと同じくストーブの前にたたずむようになった。じっと火を見てしまうのだ。火を見てるとその事しか考えない。嫌な事があっても、なんだか忘れられる。どうでもよくなってくるのだ。

炎を見ると、アルファ波が出てリラックスするのだとも後で聞いた。更に香りにもリラックス効果がある。燃やす薪によって香りが違うが、今のガーデナーのお気に入りは桜である。バラ科の桜は花には香りがほとんどないのに、木には燃やす前から甘い芳香がある。火にくべるとほんのりとあたりに漂う。ジャスミンと白檀の香りにも似た甘美な香りに、すっかりとろけそうである。

(空気をしぼった時に見られる「オーロラ」の炎)

薪ストーブにはon/offがない。よく燃える日もあれば、なかなか火がつかない日もある。薪、その日の気温、湿度によるのか、燃え方がその時によって違う。植物と接していて、ああすれば必ずこうなると言う、デジタル的な法則が当てはまらないのがわかってきたが、薪ストーブも普段接するデジタル機器とは対極にある。急がずじっくりとつきあう存在だ。

薪ストーブが与えてくれたのは「暖房」だけではない。「安らぎ」と「急がない生活様式」まで教えてくれるような気がする。これから寒さが続く中、薪ストーブ前の癒しの一時は春まで続く。


(←クリスマスローズとソヨゴの実、→大きくなったストレリチア)


花鳥風月 [ガーデン]

雪は降るし、朝晩はしんしんと冷え込む。お散歩に出かけても、手袋を取ってカメラのシャッターを押す気にもならない。こんな時は温室でぬくぬくするのがよろしい。

ある日軟弱者ガーデナーと相棒maruが向かったのは、神戸花鳥園。前から興味はあったのだが、一度鳥インフルエンザ騒ぎがあり、ちょっと行くのを躊躇っていた。まだまだお正月気分も抜けきらない時期で、開いてる所も少なかったので意を決して出掛けて行ったのだ。確か南国の鳥達と直接触れ合えるのが売りだったっけと、あまり期待もせず一応カメラを持参しておくと言った感じだった。

着いてみると駐車場はかなり賑わっていた。三世代揃っての家族連れがかなりの割合を占めている。眠そうなフクロウのケージを過ぎると、オシドリとペンギンが池に佇んでいる。こんな至近距離で鳥を見る事がないので、なんだか楽しくなってきた。普段はじっとポーズを取ってくれる花しか撮っていないので、鳥の動きに翻弄される。

ようやく花のあるロビーに到着。色とりどりのベゴニアのハンギングがこれでもかと言う量感でせまってくる。その下で人々が幸せそうに食事を取ったり団欒を楽しんでいる。絵に書いた様な花の楽園と言うのは、この事を言うのだろうか。

(花も人もてんこ盛り)

ガーデナー達もバイキングで食事をとる。このロビーには鳥はいないが、随分と衛生管理には気を遣うだろうなと余計な心配をしつつ、このハンギング達はどうやって管理してるのかと頭をひねる。食後に写真を撮っていると、梯子車の上の部分のような機械に乗って作業している本物のガーデナーさんを見かける。高所恐怖症だと務まらないだろうなと、またつまらぬ心配をする。

ロビーを抜けると次の間は睡蓮池だった。これもまた広い。睡蓮好きのmaruは池に落ちそうなぐらい身を乗り出して撮影に夢中だ。

(→睡蓮ではなく、ハナアロエを載せてしまう事をお許し下さい^ ^;)

次にガーデナー達を迎えたのはフクシアのハンギング。可愛らしい踊り子達があちらこちらで飛び跳ねている。圧倒的な量感に、maruが「フクシアもええなあ」と、うっとりとした目をしている。危険を察知したガーデナーは「こんな風に栽培するのは難しいねんで」と、しっかり釘を刺しておいてあげた。愛らしいフクシアの犠牲者は最小限に食い止めなくてはならないのである。

もう十分に見た満腹感があるのに、まだまだ次の間がある。

中庭の池に白鳥やら見たことのない鳥が一杯である。目の前を平然と鳥が通って行くので、子供達が喜ぶのは当たり前だが、なんだか大人の方が携帯を片手にテンションが高い。

(←足長なクロエリセイタカシギ、↑白鳥、発進!、→目の前をクジャクに横切られておののく)

異様な盛り上がりの中、次のフクロウショーの場に突入。なんか眠そうなのにフクロウもお勤めご苦労である。

(→ヒナのフクロウ。突然顔がなくなったと思ったら、後ろを見ていました;)

次の間の歓声はクライマックスを告げていた。パンフレットにもある通り、実際に熱帯の鳥を腕に乗せたりして、触れ合えるのである。手乗りインコと違って大きい鳥なので、ちと怖い気がする。

(←手乗りオオハシ、↑ふと、美川憲一を思い出す、→抹茶オーレが飲みたくなる)

ようやく全部の部屋を制覇したようだ。入場料は高めだが、それに見合うエンターテイメントは得られる。花も綺麗に手入れされているが、鳥も見ていて楽しかった。贅沢を言えば、鳥は自然に飛んでいる方がいい。いつか野生の鳥も撮ってみたいなと、ガーデナー達は意外と楽しかった花鳥園をあとにした。

(撮影:1/5)

*神戸花鳥園→http://www.kamoltd.co.jp/kobe/


冬の貴婦人 [ガーデニング]

うちにもついに「冬の貴婦人」がお目見えした。思い起こせば、クリスマスローズと言う華やかな名前に対し、「なんか地味だな」と言うのがガーデナーの花を見た時の第一印象だった。

最初にガーデニングを始めた頃は、こんなバラとも似つかない花が、バラの大苗を上回る値札で売られているのが全く理解できなかった。季節が巡り冬枯れの庭の寂しさを味わうにつれ、その希少価値がようやく実感できるようになった。

ビオラ、パンジー、シクラメンで冬の花壇を鮮やかに彩るのもいいが、今年は敢えて土肌が見える「冬枯れ」の景色を選んだ。冬の景色が寂しければ寂しいほど、春の芽吹きが眩しく美しいからだ。うら寂しさの演出には、枯れたタカノハススキやパニカムを3月ぐらいまでそのまま残す。モミジの枯れ葉はマルチングとして取らない。敷き詰められた落ち葉から、小さな球根が目覚め始め、春の到来を告げる。

と、ガーデナーの思い描いた通りになったのに、いざ1月になるとあまりにも寂しい。デッキ内はカリシナ姫もいて、華もあるが、外の花壇は寂しさを通り越し、みすぼらしくさえある。ここに冬の貴婦人が凛として立っていてくれたら、冬枯れの景色が完成しないだろうか。それどころか、早春の調べまでも奏でてくれるに違いない。

園芸店からのセールのお知らせに心踊らせ出かける。この時期からクリスマスローズの開花鉢がどんどん出回り始めるのだ。ここ何年かのうちに色も形も華やかに改良され、貴婦人よりむしろ女王の風格さえ漂うものもある。

種類が多ければ多いほど迷う。値札を見るとさらに混乱する。その数字が何に比例しているのかよくわからない。色と形もあるが、増やし方にも関係があるのは聞いた事がある。昔は実生でちまちまとしか増やせなかったので、数も少なく高かったのだが、バイオテクノロジーの発達で大量に増殖が可能になり一部安い苗も出回るようになったと、恩師ポールさんが言ってたっけ。が、大量の苗の前にしてはそんな知識は無用だ。一旦お茶をして心を落ち着けてから再度吟味する。

相棒maruと一鉢ずつ気に入った苗を発表する事にした。「これ、好きやねんけど」とmaruが選んだのが、原種のリビダス。確かこれは栽培が難しくなかったっけと躊躇するが、清楚な立ち姿に心魅かれる。

「私はこの子」とガーデナーが指差したのは正真正銘、元祖クリスマスローズのニゲルである。値札が少し気になったが、こう言う出会いは大切にする事にしている。

(←リビダス、あとで調べたら原種の中では比較的育てやすいらしい。→ニゲル、白花だが、花後はピンクを帯びてくる。)

二鉢をデッキの植えますに仮置きすると、にわかに春めいて来た気がする。外に植えるつもりが、こうして見るとやっぱり手元に置きたくなってきた。外は丈夫な園芸種オリエンタリス(ヒブリドゥス)に任せる事にして、この子達にはここにいてもらおうかな。ガーデナーは更に貴婦人獲得をもくろむ事にして、リビングからにやけた顔をクリスマスローズに向けるのだった。


(蕾マニアのあなたに^ ^)


冬の華 [夢の庭]

年末年始の仕事の忙しさから、また冬眠してしまいました。相変わらずの気まぐれペースですが、どうか本年もよろしくお願いしますm(_ _)m

*******
冬のガーデナーは怠け者である。外は寒いし、バラを始めほとんどの植物が休眠中とあっては、やる事もない。いや、厳密に言うとない事はないのだ。寒肥に剪定、誘引、枯れ枝の整理、主のいなくなった鉢の整理に春からの植栽構想。週に一度ぐらいは忘れず鉢に水やりもしてやらなくてはいけない。

とは言え、別に今日やらなければいけない事は何もない。冬に成長する植物でさえ、育ってるかどうか毎日観察していてもよくわからない。まるで静止画のように、今日も昨日と同じ景色が張り付いている。可愛い原種スイセンのカンタブリカス・モノフィラスも一ヶ月ぐらい咲きっぱなしで、造花じゃないかと疑わしくなるほどだ。

(←原種スイセン、↑一年草がいなくなった三角地帯、→咲き始めたギョリュウバイ)

怠け者ガーデナーが日々楽しみにしているのは、暖房のきいたリビングから望むデッキの植えますに作った小さな「冬の庭」である。バコパが雪とみまごうばかりにその白い花びらをまきちらしている。その後ろには「冬の貴婦人」クリスマスローズ。が、まだ今春の花芽は見えない。

(←植えますから枝垂れ落ちるバコパ、→アクシャスママから頂いたクリスマスローズの苗もこんなに大きく育ちました^ ^)

そして、デッキの塀に這わせた社会人一年目のカリシナ姫。期待に応え、この冬ようやくソバカスの笑顔を覗かせてくれた。リビングから見えるように敢えて、塀の内側に這わせた。少し日当たりは悪くなるのだが、ソバカス姫の美しさを独り占めできるのである。ふふふ。

(←冬咲きクレマチスのカリシナ、→無理矢理上を向いてもらいました)

ああ、でももう少し上に誘引しないと、はいつくばってしか写真が撮れない。はずかしがりの姫は皆うつむいてしまって、顔を拝むには寒さを我慢してデッキまで出向いていかないといけないのだ。いつだって、いざその季節になってみると素人ガーデナーの思惑通りにはいかないものである。それでもこの冬は少しだけ華があって、例年みたいに寂しさのあまり観葉植物を買いあさらずに済みそうである。


(←手前はカリシナの花後の姿、もうすぐフワフワのイヤリングができる。→モミジの下のスノードロップ、春はもうそこに)


秋色探し [お散歩]

11月半ばでも、当地では昼間はコートがいらない暖かさが続いている。それでも確実に日照時間は短くなっている。「例年の気温」はあてにならないが、日照時間は毎年変わらない。植物達はそれに敏感に反応して、葉を落としたり、新芽を伸ばしたりと、それぞれの冬支度に余念がない。

ある晴れた平日、ガーデニング作業も一段落したので、少し外へ秋色探しに出かける事にした。東南の角にあるうちのイロハモミジは、猛暑のおかげで、紅葉を前に早くも落葉したりしている。常緑のソヨゴでさえ、一部枯れている有様だ。宇治川沿いのあのモミジ並木はどうだろうか。この時期、あえて週末に出向いていくのは控えていたが、平日なら大丈夫だろう。カメラを片手に散歩に出かけた。

ガーデナーの目論見違いに気づいたのは、駅周辺に来た時だった。ガイドブックを見ながら、うろうろしている4-5人グループを何組か目撃する。川に近づくほど、その数は増えている。宇治橋に来ると、明らかに普段の平日より人出が多い。常に観光客はいるし、自転車で通勤途中に、景色に見とれている人をうっかり引いてしまいそうになる事は今までだってあった。それにしても、、、。不安はよぎったものの、宇治川の色づいて来た景色に上機嫌でシャッターを押していると、そんな事はすっかり忘れてしまった。「綺麗やねぇ」と感嘆の声があちこちで聞かれたが、それは秋の観光シーズンのほんの序曲に過ぎなかったのだ。

お腹もすいたので、大好きな十割蕎麦屋で腹ごしらえ。腹ごなしに宇治川の東側を散策する。さすがに平等院のある西側は避ける事にした。琴坂のある興聖寺を目指すと、ひときわ目立つ銀杏の木があった。樹齢が相当ありそうだが、黄金色に輝く葉の色も見事ながら、何より樹形が美しい。よく街路樹として目にするが、可哀想な剪定をされている事が多いので、銀杏の木をこれほど美しいと思ったのは正直初めてだった。とても人気者で、人を入れずに写真を収めるのはほぼ不可能だった。

(←皆、順番待ち:→一部だけでもアップで)

午後になって、どんどん人の数は増えている。やたら車も通る。ようやく琴坂に着いたが、車と人でゆっくり写真はとれない。門のカエデは青々としていた。坂一体が赤に染まると大層美しいらしいのだが、、、。これは予想通りではあったので、引き返す事にした。

(角度を変えると、雰囲気は味わえるかも??)

朝霧橋の上が、人で埋まっているのを遠目に見る。早く退散した方がよさそうだ。と、あるご婦人が宇治川をバックに写真を撮って欲しいとデジカメを差し出してきた。この一眼レフを持っているとどうも誤解されるみたいだ。はっきり言っておくが、ガーデナーは全くカメラの事を知らないのだ。いきなり見た事のないデジカメを差し出されても、どこがシャッターだかわからないぐらいなのだ。まごまごしているうちに、橋を渡り終わった団体観光客の第一波に飲み込まれてしまった。あっけにとられていると、ガイドさんが「270名いますから、待ってたら大変ですよ」とこともなげに言い放って先導していった。それから、第二波、第三波ととめどもなく人が流れてくる。少し途切れた所でシャッターを押して、逃げるようにその場を立ち去った。

もうお散歩の気分ではない。橋を越えていくと、今度は花嫁さんと花婿さんが横切る。一体、今日は何の日だろう?

(←目をこらすと、欄干の上には人、人、人:→国際結婚らしく、花婿さんは外国の方でした。)

通園まで辿りつくと、多国籍な学生が抹茶ソフトを食べながら、固まって楽しそうに盛り上がっている。間違いなく観光地の風景である。茶団子だけを買って、さっさと駅に向かい、本来の用事を済ませに急ぐ事にした。

あとで、タクシーの運転手から、赤く染まる時期の目安を聞く事ができた。あの美しい銀杏の木は、不思議と毎年一気に黄金色に染まるのだそうだ。そして雨や風の後、一気に散るらしい。銀杏の葉が落ちた頃、回りのモミジ並木が真っ赤に染まり始めると言う。「私らはいつもあの銀杏の木を目安にしとるんですわ」

なるほど、これから橋を渡る時は、遠目にあの黄金色を監視していく事にしよう。宇治の観光シーズンはまだまだこれから続く。当分お散歩は早朝か午前中に行くのが、地元民の常識かもしれない。未だに「留学」気分のガーデナーには未知の景色がいっぱいだ。


(←一番赤かったモミジの葉:→京都市内の用事先で見かけた原種のフジバカマ。違いがわかる方、教えて下さい!^ ^;)

(撮影:11/14)

***おまけ***
今夜から冷え込むそうです。紅葉が進むには8℃以下の夜温が必要だとか。待ち遠しいですね^ ^


オベリスク物語 [夢の庭]

待望の週末は晴れ。絶好のガーデニング日和である。朝食が終わるか終らないかのうちに、もう一人のガーデナーmaruが「朝顔を取ってくるわ」と勇ましく出かけて行った。バラを植栽する予定地の東側の花壇には、まだ西洋朝顔とバジルが頑張っていた。朝顔の種を取りたかったガーデナーは徐々に撤去していきたかったのだが、もう誰もmaruを止めることはできない。

当初の「ローズガーデン構想」では、一季咲きのつる性のオールドローズを2本植栽し、壁面に誘引するつもりであった。そのためにアイアンのトレリスを家の外壁の両端に設置し、その間をワイヤーで張ればいいと考えていた。

設置後、「真ん中に何か要るなあ」とmaru。確かにトレリス間の距離があり過ぎて、なんだか間延びした感じだ。

(朝顔とバジルがわさわさだった頃の東側花壇)

二人のガーデナーの協議の結果、2本のオベリスクを、窓をはさみ対称的に立てる事にした。せっかくなので、オベリスクにもバラを這わしたい。満場一致で、前述のコンスタンス・スプライとシャポー・ドゥ・ナポレオンが採択された。

平日の仕事帰りに京阪園芸に立ち寄り、めざとくローズアドバイザーの小山内さんを発見する。オベリスク計画を打ち明け、懇切丁寧にアドバイスしてもらう。シャポー・ドゥ・ナポレオンの1年目はあまり伸びないので、張り切ってまだオベリスクを買わなくてもいいと言う良心的なお言葉まで頂いた。しかしmaruは、苗を入手するやいなや、オベリスクを早速ネット購入してしまった。

そんなオベリスクだったが、一掃された朝顔達の後に仮置きすると、幅50cmの狭小花壇が一人前の庭らしく見えてくる。

(朝顔が一掃され、一部のバジルが残っている。)

ガーデナーはつるバラ用の長尺苗をポットからはずし、根を洗い始める。剪定後の背の低い大苗ではないので、大変である。適当に土を落としだけで、バケツに水と適量の活性液を入れ、しばらくつけておく。

その間maruはオベリスクを固定し終わり、上機嫌で植栽用の穴を掘り始める。最低30cmの深さは確保したい。家の基礎もあるので、そこまでが限界点でもある。掘っていくと、コガネムシなど甲虫の幼虫、通称「根切虫」がざくざく取れた。恩師ポールさんは、素手で根切虫の頭をちぎり、残りの胴体部分を「ハイ、有機肥料!」と地面に突き刺していたが、ガーデナーにその妙技を試す勇気はない。

根切虫が出てくるのは、土が良くなっている証拠でもある。掘り上げた土に更に培養土と腐葉土を追加し、骨粉もひとつかみ混ぜ、ふかふかにする。後は小山内さんのアドバイスと、ポールさんのDVD春編に従い、初めてのバラの地植えをする。

1、接ぎ木の部分(テープ部分)が地面の高さになるよう、根を持ちながら、穴に改良した土を入れていく。
2、いったん土を入れ終わったら、かかとで穴のまわりを固めるように踏む。根はふんづけないように注意。
3、土が沈んだ所に更に土を追加。またかかとで固める。
4、土留めを作り、バケツで2杯分の水をやる。半日蔭の場合、これ以降水をやる必要はない。
5、有機肥料を適当に株元からなるべく離したところにやると、なおよろしい。バイオゴールドをひとつかみやる。
6、土が水で沈んだ所に、腐葉土をまいて終わり。

(←外壁ぎりぎりまで植栽の穴を掘る^ ^;:→まだ頼りないシャポー・ドゥ・ナポレオンの株元に水をやる)

これを2回繰り返したわけだが、二つ目の穴を掘っていた時にmaruが悲劇に見舞われた。側の縁石に指を誤って思い切り打ちつけてしまい、早々に戦線離脱してしまったのだ。上記の作業は全てガーデナーが一人で担当した。

植え付けが終わってから、遅い昼食を取る。「戦力外」となったmaruは心なしか意気消沈しているようだった。トゲが刺さってもバラを誘引すると張り切っていただけに、中指の絆創膏は痛々しい。食事後は、オベリスクに倒れない程度に苗を麻ひもで仮止めし、その日の作業は終了した。

(早く育ってね)

来月中旬以降には剪定をし、いよいよオベリスクに誘引する事になる。「誘引は頑張るよね」と言うガーデナーに、maruはこくんと力強く頷いた。


(←ようやく咲き始めたシャウシャウ:→東側に定植したメドーセージ)

***おまけ***
回し者ではありませんが、ご参考までに^ ^;↓


ポール・スミザー 四季のガーデン生活 ~ポール流園芸テクニック~ 春編

ポール・スミザー 四季のガーデン生活 ~ポール流園芸テクニック~ 春編

  • 出版社/メーカー: BSフジ
  • 発売日: 2005/11/14
  • メディア: DVD


クレマチス大学の卒業式 [ガーデニング]

昨年秋にやって来た当時クレマチス大学2年生のカリシナ姫は、無事今年鉢を卒業する事になった。冬咲きの落葉性と言う性質を持つので、引っ越してから後は夏休みを十分に取っていた。この間事情を知らない人が見れば、カリシナ姫はただの枯れ枝だった。
(*クレマチス大学についてはこちらをご覧下さい→http://blog.so-net.ne.jp/hanahana-slow-life/2006-10-16

9月の新学期を迎えると、ちゃんと復帰し、見る見る成長し、新芽もぐいぐい伸びてきた。所々に白い蕾までつけている。一年前の弱々しい姿に、いきなり10号鉢と言う課題は重かったかと気をもんだが、見事に期待に応えてくれた。そして、少し早目の卒業式を迎える運びになった。

就職先は、ソヨゴの下でデッキ回りのフェンス担当か、デッキ内の植えますで内側フェンス担当か迷った。二人のガーデナーの意見は分かれたが、植えますの「ウィンターガーデン構想」を主張する元祖ガーデナーの独断のもと、植えますに就職が内定した。

卒業式はある晴れた、ガーデナーの機嫌がいい午前中に突如執り行われた。まず、成績優秀な旧枝と新枝をねぎらい、整然粛々と麻ひもがトレリスより取り払われる。そして、そうっと息をひそめ、全神経を集中して、丁寧に、トレリスの上部から「学業成績」を紐解いていく。神聖なる儀式の間、焦りは禁物。集中力もとぎれさせてはならない。ふと気を抜くと、この一年間の「成績」が水の泡になってしまうのだ。枝が柔らかくなると言うので、2、3日前から水を断って式に臨んだが、所々不自然に枝が曲がってしまい、焦る。こういう時は接ぎ木テープとか文房具の接着テープが役立つ。


(←ドキドキの卒業式:→内定した就職先の植えます)

だんだん式が進むにつれ、卒業式と言うよりは、難解なパズルを解くかのような卒業試験の様相を呈してくる。どこの枝がどこにつながっているのか、これを解き明かし、しかも無傷に、物理的にほどいていかなければならない。正直、こんなに頭を使うものとは夢にも思わなかった。

「誘引」の事を英語ではtrainingと言う。trainと言う動詞はこの場合「植物をある形に仕立てる」の意なのだが、「訓練する」「研修する」「修行する」意味もある。日本語でも使う「トレーニング」はこの英語から来ている。

そんな事をふと思い出すと、途中から「トレーニング」されているのは、実はカリシナ姫ではなく、ガーデナーの方なのではないかと言う気になってきた。卒業試験と言う試練を受けているのはカリシナ姫ではなく、ガーデナーの方に違いない。つまりこれは明らかに「誘引」ではなくガーデナーの「修行」である。昼前になってようやくトレリスを取り外せた。めでたく卒業式は終了できたのである。「修行中」のガーデナーは力尽き、長い休憩をとる。

(←パズル状態に;:→卒業式を終えた所。おめでとうございます;)

日も傾きかけた頃、気を取り直して、就職先を耕し始める。その後の手続きは、園芸書を三冊参考にしたが、それぞれ「宗教」が違うので、やり方が異なる。これは正しい正しくないの問題ではなく、何を信じ信じないかの問題である。「宗教論争」に巻き込まれないよう、ガーデナーは、どの本にも共通していた「2節目までの深植え」をすることにした。ただどこが2節目かよくわからなかったので、気持ち深めに掘った。次に、根鉢をくずす、くずさない論争には決着をみないので、下の方だけを少しくずして根を広げてから植え付けた。移植を嫌うと言うのは共通理解なので、あんまりいじらなくて正解かなとは思う。

その後の工程は文字通り「修行」の2文字に尽きる。植えますにすでに植栽されてある植物を器用に除けつつ、時にはヨガのポーズやアクロバティックな曲芸をデッキの子達に披露しながら、一時間半に及ぶフェンスへの「トレーニング」は終了した。

夜帰ってきた相棒maruから「よくできた誘引ですね」と思わぬ褒め言葉をもらい、太ももの筋の痛みもしばし忘れる。冬にはリビングでお茶をすすりながら、社会人になったカリシナ姫を鑑賞できるだろうか。秋に頑張ったガーデナーへのご褒美は、カリシナ姫の白くて可愛いウインターベルである。

(←待ち遠しいウインターベル:→ウインターガーデンになるはずの植えます。カリシナ姫は右奥の隅に)

***おまけ***
クレマチス大学より新たに迎えた学生苗をご紹介。新旧両枝咲き系列、中輪学科の白万重(しろまんえ)です。学年が1年生か2年生なのか不明。もしかしてまだ1年生なのかも。大きく育ってね^ ^;

(←トレリスも鉢もぶかぶか:→宝塚のシーズンズで今夏見初めた時の白万重)





憧れのローズガーデン [夢の庭]

我が家のオールドローズ達はあの怖ろしい猛暑を耐え抜き、ようやく美しいドレスを披露してくれるようになった。5月に引っ越してしまったため、環境の激変と暑さのお陰で、ガーデナー同様、バラ達もへとへとだったらしい。春はあまり本領を発揮してくれなかった。

おまけに今年の夏は仕事まで忙しく、気がつけば秋剪定やら、施肥の時期まですっかり頭から飛んでいた。思い出したように9月末にシャウシャウには軽く整枝してやり、肥料をあげた。ただ、すでに蕾をつけていたノエル君とサーヤには剪定も施肥もできず、8月末だか9月頭にやった肥料だけで頑張ってもらっていた。

10月になるとようやく気候もよくなり、今度はいそいそとまめなガーデナーの真似をして、葉の裏なぞチェックするようになった。チュウレンジバチのお子様も小さいうちに退場してもらった。見逃して大きくなってしまった子は、小鳥達の「捧げもの」としてデッキの塀の上に葉っぱを添えてお出しする事にした。幼虫もすごい食欲で葉をレース状にしてくれるが、小鳥達もひけをとらぬ食欲で、気がつけば「お皿」は空っぽである。

何故ガーデナーがとってつけたように世話をしだしたかと言えば、それはひとえに秋バラの美しさを見たいがためである。おまけにうちの子たちは秋の花色が美しい。春とは違ってゆっくりと蕾が成長し、はっとするような深みのあるドレスをじらすかのように広げていくのだ。夏にバラ達が体力を消耗しないように、花をつけたらなるべく早く摘んでもいた。それもこれも皆、秋バラのためである。

バラ園では10月半ば以降を見頃にするため、9月初旬に秋剪定をしている。今回は剪定をしなかったので、一斉に開花時期を迎えず、一つ、また一つと、ポツリポツリ咲いていく。たくさんバラがない場合はこうやってだらだらと長く楽しむのもいいのかもしれない。

今年はいつもの三人に加え、相棒maruが何故だか迎えてしまった盆栽系のミニバラがあと2鉢ある。これは鉢のままにしておくとして、せっかく地植えスペースを確保したので、三人のうちノエル君には、デッキまわりの塀を覆ってもらおうかと思案中である。可愛い房咲きの花がフェンス一面に広がってくれれば、その芳香もより一層楽しめるはずだ。


(↑サーヤの香しいドレス:←ノエル君の花束:→あともう少しのシャウシャウ)

あと、東側のバジル畑と朝顔でぐちゃぐちゃになってしまった花壇には、一季咲きの一重のバラを壁面に這わせようと構想中だ。これに夏咲きのクレマチスを絡ませて、秋にはローズヒップも同時に楽しめたらもう言うことなしだ。ヒップを楽しむから、花がらは「摘んではいけない」。クレマチスは咲き終わったらそのままイヤリングのようになるので、それを観賞したければ、やっぱり花がらは「摘んではいけない」。ものぐさガ-デナーには夢のような取り合わせだ。気が向いた時だけ、剪定してやれば又返り咲いてもくれるだろう。誘引だけが、ちと面倒くさそうだが、骨組さえできれば、夏の間はあまり世話をしなくてもいいはずなのだ。

(←遅咲きのファイルヒェンブラウは壁面に:→オレンジのヒップが魅力のコンプリカータ)

南の三角地帯にも、やはり一株だけで目を引くあまり大きくならないブッシュ型の四季咲きバラが欲しい。病気にも虫にもとても強くて、なおかつ、香りも強ければ最高だ。

と、こんなバラを探しているのだが、もう一人のガーデナーmaruと意見が一致せず、また場所の関係で一株が限度なので、「スカウト活動」は困難を極めている。ガーデナーは、濃い目のピンクかアプリコット色を帯びた強香なイングリッシュ・ローズが第一希望なのだが、maruは以前バラ園で見たメイヤンのレオナルド・ダヴィンチだと言って譲らない。

(←目を引くレオナルド、強健そうだけど、少し大きいのと香りが弱いのが、う〜ん:→ERのウィリアム・モリス、強香だけど大きくなるよねぇ。)

今はちょうどバラの大苗が売り出されてから時間が経ってしまっているので、人気品種はどんどん品薄になっている。ぼやぼやしていると又来年まで待たなければならない。

少し焦りつつも、ただ一辺にたくさんのバラを抱えると今度は世話まで手が回らない。嬉しい悲鳴を上げつつ、ガーデナーは秋の夜長をカタログや園芸書を何度も舐めるように眺めながら過ごしている。


(そんな事書いてる間に、うちに来る事になった子達。←ER第一号のコンスタンス・スプライ:→シャポー・ドゥ・ナポレオン:とりあえず東側にと。どんどん計画が変更に??^ ^;)

*追記:うちの子(上の三枚の写真)以外のバラ達は、今春に、姫路バラ園にて撮影。ウィリアム・モリスのみ、ひらかたパークで撮影。

*追記2(11/7):秋の夜長のお供達。↓

バラとつるバラの素敵な庭づくり

バラとつるバラの素敵な庭づくり

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 成美堂出版
  • 発売日: 2004/02
  • メディア: 単行本

↑仕立てに向いたバラが紹介されている。

オールド・ローズとつるバラ図鑑674

オールド・ローズとつるバラ図鑑674

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/03
  • メディア: 単行本

↑花色別に分類され、返り咲きの時期、ヒップ(実)の鑑賞度までもマニアックに紹介されている。

オールドローズ (NHK趣味の園芸・よくわかる栽培12か月 )

オールドローズ (NHK趣味の園芸・よくわかる栽培12か月 )

  • 作者: 野村 和子
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2002/05
  • メディア: 単行本

↑コンパクトながら栽培の要点がわかる。ただ肥料は少しやり過ぎのような気もする。

オールド・ローズ―ガーデニング大好き! (Gardening is wonderful!)

オールド・ローズ―ガーデニング大好き! (Gardening is wonderful!)

  • 作者: 小山内 健
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/10
  • メディア: 単行本

↑同じようなシリーズでイングリッシュ・ローズ、クレマチスもある。写真が美しい。


宇治茶まつり [Tea Time]

今日は文化の日。って事で、先月お茶の記事を書いていたので、古くはなりましたがアップしておきます。

******
先月初旬宇治橋一帯で、宇治茶まつりが開かれた。普段生活しているすぐ近所で何かしら伝統的な祭りが催されるというのはとても新鮮だ。興味津々のガーデナーは相棒maruを誘い、朝からカメラを携え、いそいそと宇治橋へと出かけて行った。

「名水汲み上げの儀」から始まるのだが、九時前にはすでに関係者と見物客で橋周辺は結構な人だかりだった。橋の上では今が何時代がわからなくなるぐらい古風な装束の人達と、橋の下では最先端技術を駆使したレンズ群が、同じ瞬間のために待機している。

(→maruさんもスタンバイOK)

何の合図もなく、するすると井戸のつるべのごとく、木製の器が欄干から下りてきた。高度が下がるに従い、振り子のように反動をつけ、つるべはくねりながら宇治川の流れに引き込まれるように着水し、執拗な水の誘惑を断ち切るかの様に、ゆるゆるとと引き上げられて行った。川の水を汲むと言う単純な行為なのに、何故だか厳かで緊張感が漂う。皆固唾を呑んで見守る中、つるべは三回着水し、三回ゆるりと吊り上げられた。

これで終わりかと思いきや、今度は人足みたいな装束の人達がやってきて、うやうやしく茶壷らしい物体を籠に乗せ、身分の高そうな人達を先頭に行列して行く。少し上流の興聖寺で「茶壷口切りの儀」があるそうで、おそらくそこまで汲んだ水と共に運んで行くのだろう。

儀式の見物のため、河原まで降りていたガーデナーとmaruは、そんな行列はそっちのけで、周りの植物達に心を奪われていた。朝の河原はすがすがしく、鳥も蝶も舞い、心癒される風景である。釣り糸を垂れる人、鳥を観察する人、散歩をする人や一休みしている人がいる。皆思い思いに朝の河原を楽しんでいた。

(←ススキ:→可憐なノゲイトウ、う〜ん、お持ち帰りすればよかった^ ^;)

川の中央にある橋島に出てきたガーデナー達を迎えたのは、つつましやかな出店だった。屋台と言うにはあまりに商売っ気のない手作りの品々がテントの下に展示されていた。その間ようやく行列は朝霧橋を渡り、対岸の寺へと向かっていた。

(←山野草の店も。興奮して指がフレームに??)

朝霧橋からの眺めを楽しみながら、対岸に出ると朝の十時だった。観光客らしき人影があちらこちらに現われた。なんだかお茶が飲みたくなった。看板を出してようやく目覚め始めたばかりの茶店に寄り、かぶせ茶を頂く。茶碗に直接茶葉を入れ、ふたをずらしながらすすって頂く方式が面白くて気に入る。葉が開くのを待つ間、時間がゆったりと流れて行く。

(←入れ方も教えてもらえる:→五煎目を飲んだあとは、ポン酢をかけて茶葉を頂く。美味♪)

帰りに商店街を歩いていたら、上林記念館(かんばやし)と言う古びた長屋が目に止まった。お茶つながりなので、ものは試しと入ってみる。中には昔の製茶に使われていた道具や茶壷が展示されてあった。建物の構造自体も昔からそのまま保存されている。江戸時代に盛んであった「お茶壷道中」で使われた籠と茶壷を見ていると、先ほどの行列の光景と相まって想像が膨らむ。新茶献上のため、皇室と同等扱いだった「お茶壷様」が通る時、大名行列はひれ伏し、周りの住人達は息をひそめて通り過ぎるのを待っていたらしい。

♪ずいずいずっころばし ごまみそずい
茶壷に追われてト(戸)ッピッシャン
抜けたら(通過したら)どんどこしょ

子供の頃意味もわからず口ずさんでいた唄が、お茶壷道中を唄ったものだと言う解説を見て目からうろこが落ちる。

帰りに茶染めのテーブルセンターをおみやげにして、タイムトラベルの余韻にひたるガーデナーであった。


(←記念館の前のお庭)

(撮影:10/7)


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